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にじゅういち
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「サローナ、サローナ、あれって、ゴーハン王子だよな」
「えぇ、ロイヤル国、第1王子ゴーハン・ロイヤル殿下だと思います。隣にいるのが私の義理妹で、剣士がユバにいつも挑んでは負けていたタロン君で、あの耳の長い魔法使いは初める人だわ」
隣にいた、ラトナの瞳がゴーハンの名前を聞き目を光らせた。
「ゴーハン、殺す。サローナお嬢様に婚約破棄を言った、あの男を私が葬る。次いでにあの女も!」
ラトナが隠し持つナイフを取り出した。それを止めたのはドラーゴ様。彼女が繰り出すナイフを軽やかに避けている。
「ラトナ、やめなさい」
「ぐぬぬっ、ドラーゴ様」
(珍しく、ラトナが押されてる。さすが、ドラーゴ様だ)
「くっ、強い。悔しいけどお強い」
「もっともよ。私はドラゴンで男だもの。歳だって何百年も生きているの、いまの若い女の子に負けないわ」
だから、強い私と結婚しましょう。とラトナに告白したドラーゴ様に、ラトナはまだ無理だと断った。
「いつかは絶対! ラトナちゃんに私を嫁にもらってもらうから」
(嫁にもらってもらうって、逆だけど……ドラーゴ様らしいな)
+
観察虫に映っていたのはやはりゴーハン・ロイヤル殿下。あの人が勇者になるなんて……教えても、木刀もまともに振れなかった癖に。
「口ばかり達者だった、あの人に勇者はできないわ。自分の事しか考えていない」
(弱い者にしか強くなれない、嫌な人)
「いやね、最弱勇者が元婚約者なんて……」
「ほんと最悪ね、私だったら婚約する前にお断りするわ。男はお父様の様に強くなくちゃ」
「あの野郎は許さん! うちの可愛い嫁子に婚約破棄をしたのか! わしが管理するダンジョンに入ったら懲らしめてやる!」
知らないところでボロクソに言われるゴーハン。ユバに至ってはずっと笑っていた。
「はははっ、あいつが勇者だって笑えるな」
「ユバ、笑い過ぎよ。あの国では多分、次期国王になる人なんだから」
「うわっ、あいつが国王になったときの国民は悲惨だな、ちゃんと政治とか出来るのか?」
「……出来るかしら、きっとやるわよ」
それはユバの言う通りかも。……みっちりとはいかないけど、国王になるための習い事は妹と一緒に受けさせたから、なんとかなるはず。
「ユバ、いくら国民が悲惨でも。私たちはあの国を離れてしまったから何もできないし、する気もない」
「あぁ、そうだな。俺も関係ない」
ユバが頷く。
「でもさ、その勇者をなんとか勝たせなくてはダメよ。魔王様が倒れた後は国民が必死に生きる番。今までそうやって私たちの住む場所を守ってきたんだけど……ふうっ、今回は一筋縄ではいかないかもしれないわね」
「そうね、スライムにやられるくらい、もろい勇者ではお父様と四天王は手を抜いてもきっとに倒せない。後5年くらい努力したらあの人強くならない? 一層のこと、誰がにあいつを強くしてもらわないと、いけないわね」
エマ様のいう通りかもしれないけど……
(あの、手ほどきてもやる気がないあの人は強くなる? 真剣に教えるのなら、私がやってきたように褒めて伸ばすしかなさそうだわ。でも褒めれば褒めるほど思い込みがひどくなるけど……)
「俺は嫌だ! エマ様、俺はあいつと訓練で何度か剣を交えたことがある。筋が悪いし、やる気がなし、ダメ人間だし、あいつは全く人の話を聞かない。俺は嫌だからな、俺のサローナを傷つけた奴だ」
「ユバ……」
「サローナだってそうだろ? あいつに真剣に教えても話をまず聞かない。大丈夫だ今日は調子が悪いだけ、いつもの俺は強いって、コテンパンに負けても言っていた奴だ」
ほんとそう、私もいっぱい経験したからわかるよ、と とユバに頷いた。
+
みんなは今回の勇者に頭を抱えた。
「明日の会議でなんとかなるわよ、魔王様がいい案を持ってきてくださるわ」
「そうだな、四天王の残りの2人も集まる」
四天王の残りの2人、気になる。
「あの、四天王の残りの2人って誰なんですか?」
「四天王の残りの2人? あぁサローナはまだ会っていないわね。1人はリザードマンのノマ、もう1人はエロフのササよ。明日、ユバと一緒に魔王城にいらっしゃい紹介するわ」
(さらっとエロフって言ったけど……)
「エマ様、エルフではなくエロフなのですか?」
「あ、そうですエマ様、あの者はエルフですぞ。あいつはエロフ過ぎますが……一応エルフです」
(エルフでエロフ?)
「でもさ、ササは明日の魔王様の会議に来るかしら?」
ドラーゴ様の言ったことに、エマ様は眉をひそめた。
「そうね。なんでか、わからないけど彼。勇者パティーの魔法使いやっていたから。きっと、勇者か剣士の何方かの尻を狙っているのね。見かけがイケメンで「僕に落とせないものはいない!」とか言って、こっちでもあっでも食い散らかしはやめて欲しいわ」
食い散らかしって、可愛らしいエマ様からすごい言葉が発せられた。
「えぇ、ロイヤル国、第1王子ゴーハン・ロイヤル殿下だと思います。隣にいるのが私の義理妹で、剣士がユバにいつも挑んでは負けていたタロン君で、あの耳の長い魔法使いは初める人だわ」
隣にいた、ラトナの瞳がゴーハンの名前を聞き目を光らせた。
「ゴーハン、殺す。サローナお嬢様に婚約破棄を言った、あの男を私が葬る。次いでにあの女も!」
ラトナが隠し持つナイフを取り出した。それを止めたのはドラーゴ様。彼女が繰り出すナイフを軽やかに避けている。
「ラトナ、やめなさい」
「ぐぬぬっ、ドラーゴ様」
(珍しく、ラトナが押されてる。さすが、ドラーゴ様だ)
「くっ、強い。悔しいけどお強い」
「もっともよ。私はドラゴンで男だもの。歳だって何百年も生きているの、いまの若い女の子に負けないわ」
だから、強い私と結婚しましょう。とラトナに告白したドラーゴ様に、ラトナはまだ無理だと断った。
「いつかは絶対! ラトナちゃんに私を嫁にもらってもらうから」
(嫁にもらってもらうって、逆だけど……ドラーゴ様らしいな)
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観察虫に映っていたのはやはりゴーハン・ロイヤル殿下。あの人が勇者になるなんて……教えても、木刀もまともに振れなかった癖に。
「口ばかり達者だった、あの人に勇者はできないわ。自分の事しか考えていない」
(弱い者にしか強くなれない、嫌な人)
「いやね、最弱勇者が元婚約者なんて……」
「ほんと最悪ね、私だったら婚約する前にお断りするわ。男はお父様の様に強くなくちゃ」
「あの野郎は許さん! うちの可愛い嫁子に婚約破棄をしたのか! わしが管理するダンジョンに入ったら懲らしめてやる!」
知らないところでボロクソに言われるゴーハン。ユバに至ってはずっと笑っていた。
「はははっ、あいつが勇者だって笑えるな」
「ユバ、笑い過ぎよ。あの国では多分、次期国王になる人なんだから」
「うわっ、あいつが国王になったときの国民は悲惨だな、ちゃんと政治とか出来るのか?」
「……出来るかしら、きっとやるわよ」
それはユバの言う通りかも。……みっちりとはいかないけど、国王になるための習い事は妹と一緒に受けさせたから、なんとかなるはず。
「ユバ、いくら国民が悲惨でも。私たちはあの国を離れてしまったから何もできないし、する気もない」
「あぁ、そうだな。俺も関係ない」
ユバが頷く。
「でもさ、その勇者をなんとか勝たせなくてはダメよ。魔王様が倒れた後は国民が必死に生きる番。今までそうやって私たちの住む場所を守ってきたんだけど……ふうっ、今回は一筋縄ではいかないかもしれないわね」
「そうね、スライムにやられるくらい、もろい勇者ではお父様と四天王は手を抜いてもきっとに倒せない。後5年くらい努力したらあの人強くならない? 一層のこと、誰がにあいつを強くしてもらわないと、いけないわね」
エマ様のいう通りかもしれないけど……
(あの、手ほどきてもやる気がないあの人は強くなる? 真剣に教えるのなら、私がやってきたように褒めて伸ばすしかなさそうだわ。でも褒めれば褒めるほど思い込みがひどくなるけど……)
「俺は嫌だ! エマ様、俺はあいつと訓練で何度か剣を交えたことがある。筋が悪いし、やる気がなし、ダメ人間だし、あいつは全く人の話を聞かない。俺は嫌だからな、俺のサローナを傷つけた奴だ」
「ユバ……」
「サローナだってそうだろ? あいつに真剣に教えても話をまず聞かない。大丈夫だ今日は調子が悪いだけ、いつもの俺は強いって、コテンパンに負けても言っていた奴だ」
ほんとそう、私もいっぱい経験したからわかるよ、と とユバに頷いた。
+
みんなは今回の勇者に頭を抱えた。
「明日の会議でなんとかなるわよ、魔王様がいい案を持ってきてくださるわ」
「そうだな、四天王の残りの2人も集まる」
四天王の残りの2人、気になる。
「あの、四天王の残りの2人って誰なんですか?」
「四天王の残りの2人? あぁサローナはまだ会っていないわね。1人はリザードマンのノマ、もう1人はエロフのササよ。明日、ユバと一緒に魔王城にいらっしゃい紹介するわ」
(さらっとエロフって言ったけど……)
「エマ様、エルフではなくエロフなのですか?」
「あ、そうですエマ様、あの者はエルフですぞ。あいつはエロフ過ぎますが……一応エルフです」
(エルフでエロフ?)
「でもさ、ササは明日の魔王様の会議に来るかしら?」
ドラーゴ様の言ったことに、エマ様は眉をひそめた。
「そうね。なんでか、わからないけど彼。勇者パティーの魔法使いやっていたから。きっと、勇者か剣士の何方かの尻を狙っているのね。見かけがイケメンで「僕に落とせないものはいない!」とか言って、こっちでもあっでも食い散らかしはやめて欲しいわ」
食い散らかしって、可愛らしいエマ様からすごい言葉が発せられた。
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