「離縁状を受け取ったら、隣国の王太子に溺愛されることになりました——あなたに興味はもうありません」
公爵夫人エリーゼは、ある日突然夫ギルフォードから離縁状を突きつけられる。「子ができない」「浪費癖がある」——身に覚えのない理由での一方的な離縁。長年、領地の経営や商会との交渉、社交界の采配まで公爵家を陰で支え続けてきたエリーゼだったが、夫はその功績を顧みることなく、男爵令嬢クラリスとの関係に溺れていた。
実家も没落し、行き場を失ったエリーゼの前に現れたのは、かつて貿易交渉で顔を合わせた隣国の王太子レオンハルト。彼女の誠実さと実務能力を高く評価していた彼は、迷わず彼女を隣国へと迎え入れる。
隣国の宮廷でエリーゼは、初めて自分の働きが正当に評価される心地よさを知る。一方、公爵家から「知恵を貸してほしい」という都合のいい相談が届くが、エリーゼの答えは静かで揺るぎない——「あなたに興味はもうありません」。
エリーゼが去った後、公爵家にはまず小さな綻びが生まれ、実務をこなせないクラリスが公爵夫人となったことでそれは本格的な経営危機へと発展していく。取引先の離反、社交界での評判失墜——ギルフォードは失って初めて、エリーゼがどれほど大きな存在だったかを思い知る。
一方、隣国ではレオンハルトの敬意がいつしか恋心へと変わっていた。対等な関係の中で求婚を受け入れたエリーゼは、新しい人生を歩み始める。すべてを失いかけたギルフォードが復縁を懇願しに訪れても、彼女の心はもう微動だにしない。
過去を振り返ることなく、エリーゼは自分を正しく見てくれる相手のもとで、本当の幸せを掴み取る——「無関心」という最も静かで確実な復讐を成し遂げながら。
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