精霊聴きは守人に拾われる
精霊の言葉を聞き取る、『精霊聴き』のミルカは焦った。
国王陛下と枢機卿を前にして、『精霊妃』を選定するこの国で重要な儀式の場で、ミルカはつい先程まで騒がしくしていた精霊たちの声がピタリと聞こえなくなってしまった。
「ミルカよ。精霊たちは今何を言うている?」
国王陛下の問いにミルカは答えられない。
精霊たちは何も言わない。
どれほど耳を傾けても、どの子も言葉を発しない。
今まで精霊聴きとして生きてきたがこんなことは初めてだった。
国の唯一の【精霊妃】に認められれば、平民出だと馬鹿にされず、まともな報酬を受け取ることができる。
一日三食の食事にありつける、その細やかな報酬の為に、ミルカは精霊たちの声を聴き取る力を磨いてきた。
精霊たちの言葉はたわいないことが多い。
だから、焦りのあまり、何かとりとめのない言葉を適当に発言しようとしたのだが…。
開こうとした口を、小さい手が押さえているような感覚がして、ミルカは言葉を止めた。
今まで精霊に触れられたことはなかった。
小さな手はミルカに何も発するなと言っているようで、偽るつもりだった言葉は飲み込んだ。
「…なにも聞こえないのだな、やはりな」
国王陛下はミルカを蔑み、退出を命じた。
「平民ごときが精霊妃を望むなど恐れ多い!」
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国王陛下の問いにミルカは答えられない。
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