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第二章 第一節:王さまに会いに行ってみる

第9話 どうしてそんな事になった ~魔王さま視点~(3)

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 俺はまた「はぁ」とため息をついた。
 今日でもう何度目のため息なのか。つきすぎてもう忘れてしまった。

「人間を敵視する魔族は多い。保護すると決めた以上、最低限の身の安全は整えてやるのは王としての俺のやるべき事だ」

 相手の事をどう思っているかに関わらず、一度した約束を準備不足のせいで違えるような事があってはならない。これは王としての信用と、威厳に関わる問題だ。
 にも拘らず、今日あの娘がこの城に来ると分かっているのに、何の準備もできていない。完全に相手を見誤っていた。

「あんなちっこい娘が送られてきた事も想定外だったが……てっきり身の回りを世話する者を一人くらいは連れてくると思っていた」
「そうですね。一国の姫が、騎士どころか使用人の一人も付けていないとは。王城までの送迎の楽はありましたが、今後間違いなく不便が生じる事でしょう」

 ルガルゼの言う通りである。

 魔族の大半は、人間を敵視している。
 これまでの長い戦争とという今日明日では拭いきる事など到底不可能である歴史とが、感情的な溝を作っている。

 それを分かっていても尚、俺はあの娘を王城に留め置く事にした。
 妃にする事が叶わないと分かっても尚、内乱と戦争を同時に抱えるリスクの方が高いと思ったから。だから王としてそう決めた。
 ならば。

「いないのなら用意せざるを得ん。身の回りの世話をさせるメイドと、もう一人」

 ニヤニヤと笑っているトラ耳の男が、ひどく煩わしい。それでも王として正しい決断を。一番の腹心のこの男に「見誤った」と思われないような王であるためにも。

も用意しておけ。明日以降、またいつ一人で脱走するか分からんのでは敵わん」
「畏まりました。陛下の手足となる該当二名を、すぐに選出いたします」



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 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
 本作はコンテスト参加中のため、コンテストの結果が出次第続きの連載を再開いたします。

 作品の先行公開はカクヨムで行っておりますので、よろしければ画面下リンクまたは『婚活したい魔王さま』でネット検索をしていただければ幸いです。
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