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第一章

20:薔薇園でお茶会

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「さぁどうぞ。ルテウスはケーキは好きか?」

薔薇の庭園の一角にセットされたテーブルの上には色取り取りのスイーツや軽食が用意されていて見ているだけで華やかさを醸し出している。でも逆にこれだけあるとどれから食べたら良いのか迷いどころでもある。

「はい、大好きです!」
「ははっ。大好きか」

甘いものは前世では余り食べたことがなかったので好きだったかと言われるとわからないが、今世では家族全員でお茶をすることが多い事もあり、甘いものを食べる機会も多く、気がつけば大好きになっていた。特に好きなのはフルーツをふんだんに使った所謂ショートケーキだ。苺のショートケーキがやっぱり一番かな?何故かこの世界には最初からショートケーキがあったから、もしかしたら過去に僕と同じように前世の事を記憶していた人が作り出してくれたのかもしれないと思ってる。だって名前がまんま、ショートケーキなんだもんね。

「じゃあ何が食べたい?ルテウスの好みがわからず幾つか用意したんだが.....」

テーブルの上にはケーキスタンドにのせられた数種類がある。ショートケーキにチョコレートケーキ、フルーツタルトにチーズケーキ等々。甘いのから甘さ控えめな物まで至れり尽くせりだ。

「えっと、じゃあショートケーキをお願いします!」

僕がそう言えば側に控えていた年配のメイドさんがお皿に取り分けて目の前に用意してくれた。お茶は温かい紅茶だ。

カーディナル様はフルーツタルトを選択していたのでフルーツが好きなのかな?

「....本当はもう少し早いタイミングでルテウスをこの屋敷に招待するつもりだったが公務の方が忙しくて余裕がなくてね....すまなかった」
「そんな事ないです!僕、今日カーディナル様と逢えて凄く嬉しいです」

お父様もここしばらくずっと忙しそうにしてて、僕達とお茶をする時間が取れない事をずっと嘆いていた。お父様でさえそれだけ忙しいのだから王族であるカーディナル様はもっと忙しかっただろう。それなのに僕との約束を守ってくれたのだから嬉しくない筈がない。

「ずっとお逢いしたかったので逢えて凄く嬉しいです!」
「.....そうか。私も....私も君に逢えて嬉しい」

ふっ、と笑みを浮かべたカーディナル様に見惚れてしまったのは仕方ないと思う。だってすごく、すごーっく格好いいんだもの!!


それから僕達は今までの事をたくさんたくさんお話した。カーディナル様も饒舌ではないけれど、僕のお話を聞いてくれて、自分の事もポツリポツリと話してくれて、まるで逢えなかった時間の空白などなかったかのように楽しいひとときだった。






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