姉は妹の婚約破棄を所望します!

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その後の話

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「あうあー」

私の身体が小さい手でむにむにされる。
まったく、私を誰だと思ってるのかしら。伯母よ?伯母の身体をもちもちするなんて、普通じゃ考えられないわ。まあ、痛いわけではないから寛大な心で許してあげるけど。

「あら、ガット。お姉様に遊んでもらってるの?」
違うわよマオ、と私は鳴いた。遊んでなんてあげてないもの。あんたの子供ったらあんたによく似て、私が何にもしなくても傍によってくるだけよ。しかたないわね、そんなに私が魅力的なのね。


私もマオもすっかり大人になった。マオったら相変わらず毛が長いしとろいけど、王妃として頑張ってるみたい。よく机の上の紙と睨めっこしてるわ。
前は紙の上にのって邪魔してやったけど、今はしない。あんまり認めたくないけど、私も年なのね。元気に走り回ったり跳んだりはしなくなってる。しないだけで、できるんだけどね?ほんとよ?

大人しく甥っ子に触られてたら、段々手の動きがゆっくりになって、こてんと私の居るクッションに伏せてしまった。
子供って急に寝ちゃうのよね。マオも小さいころはそうだったわ。

マオは甥っ子を優しく抱っこして、甥っ子のベッドに寝かせてあげた。ちゃんと母親をしているわね。
あんなに小さくてどんくさくて、ずっとお姉さまって付いてきてたのに、時間が経つのはあっという間な気がするわ。


でも、マオが甘えん坊なところは変わらないみたい。

「お姉様、失礼しますわ」
マオは淑女らしく丁寧に私を抱きしめた。私の毛がドレスについちゃうんじゃないの?まあ、私のせいじゃないから知らないんだけど。
マオはすりすりと頬ずりして、しばらく沈黙した。

「……あと、どのくらいお姉様とこうしていられるのかしら」
あーやだやだ。そんなしみったれた顔されるの。ちょっと前からこうよ。
私が少し具合を悪くしたからって、よく思いつめた顔をするのよ。まったく、あんたは能天気にへらへらしてるのがお似合いだってのに。

「……お姉様、わたくしは、ずっとお姉様に居てほしいです」

もう、大人のくせに我儘ね。そんなに泣いたって死ぬのはどうこうできないでしょうが。
王妃になっても母親になっても、結局マオはマオ。変わんないわね。

こんなんじゃいつまで経っても心配よ。
あんたの子供は、あんたにそっくりなんだからきっといっつも笑顔でどんくさい子になるんでしょうし。あんたの旦那だって、いつまで良い人なのかわからないんだもの。

仕方ないわね。気が向いたら、またあんたのとこに来てやるわよ。
毛や目の色が違ってもちゃんと見つけてよね。見つけなきゃ承知しないんだから。
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