氷の華が溶ける時
妖怪が人間と交わり生きてきた世界。
雪女の末裔でありながら男として産まれた雪野原薫は、先祖返りの力抑えるために十数年もの間「少女」として過ごしてきた。十五歳になった春。薫は父から、産まれる前から「婚約者」がいることを告げられる。
相手は海外帰りの年上。美しい筆跡の手紙や花の香りに、薫は「優しくて理想的なお姉さん」とのバラ色の新婚生活を夢見ていた。しかし、待ち合わせ場所に現れたのは、かつて薫に妖力の制御を教え、数年前に姿を消した憧れの「お兄さん」――天麻だった。
再会した天麻は、かつての穏やかな面影を残しつつも、時折執着めいた赤い瞳を薫に向ける。自身が男であること、そして「お姉さん」を期待していたことを訴える薫に対し、天麻は余裕の笑みで「恋人」からのスタートを提案する。
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