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その後の天使と妖艶魔女

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 卒業の時期が、近づいてきた。

 ブランドンはセドリック君の奇才ぶりに恐れを抱いたのか、その後復縁やセフレ契約を迫ってくることはなくなった。

 セドリック君と私は、学院にいる間は特に何も変わらなかった。

 冷静に考えると、先生と生徒という間柄で付き合うのはやっぱり良くない。それにセドリック君も、年上の保健室のセンセイに、一時的に惑わされただけに違いない。

 相変わらず保健室におしゃべりには来るけど、お互い健全な距離を保っていた。

 ある日、卒業パーティーの発表を手伝おうか? と尋ねたところ、審査員に先生の裸見られたくないよ! と返された。

 なんでも、服を溶かすこともできるスライムなんだって。

 その代わり、卒業パーティーのパートナーを申し込まれた。先生がパートナーってありなのかしら? と首を傾げたら、血が繋がってなければOKなんだとか。

 驚いたことに、そのパーティーでプロポーズされてしまった。

 ブランドンみたいな、いいかげんな付き合いをしたくないんだ、って。

「だから先生、お嫁さんになってよ。僕、結婚してから先生に✕※☆♂¥○△や▽◇♀♂♡をしたいんだ」

 天使の唇から出たとは思えない卑猥な言葉だったけど、うるうるした瞳は可愛くて逆らえなかった。

 今、私は彼の姉さん女房となっている。

 保健室の先生は相変わらず続けている。セドリック君は早く辞めて欲しいみたいだけどね。

「先生ショタコンみたいだから、心配なんだよ」

 帰宅する彼を裸にエプロンで出迎えると、今日も退職させようと試みてきた。

 私はにっこり笑って年下の夫を抱きしめる。バカね、セドリック君を超える美少年はいないじゃない。

「本当に? 僕がオッサンになっても? お腹が出てきても?」

 元々中身はオッサンでしょ。世界一可愛いオッサンになると思うわ。

 あなたこそ──。

 年上のお姉さんに連れていかれないようにね、と言おうと思ったけど……。

 目線を下にやる。

 小脇に抱えて持ち帰ってきた仕事の残りに気づき、絶句する。ぽっかり焦点の合わない二つの目と、Oの字に開いた口。

 アルケミー研究所のアダルトグッズ部門で働くセドリック君だって、十分心配よ! スライムラブドールなんて作っちゃって。

 私という人がありながら、そんなのにハマったら許さないからね!





ご愛読ありがとうございました。

セディは、前のお話のお嬢様と執事編にも出てくるよ!
よろしく!
 
 


 
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