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もう執事じゃない~執事視点~

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 俺は学習能力ゼロなのかもしれない。

 結局はまたお嬢様を、噛み痕とキスマーク、精液塗れのカピカピ状態にしてしまった。

 まるで無法者に輪姦されたようなひどい有様でコンコンと眠るお嬢様は、それでも美しかった。

 制服は、ホテルのランドリーサービスを利用しよう。それまではバスローブで部屋に監禁だな。

 タウンハウスに使いを出して、お嬢様は預かっていると伝言を頼んで──なんなの俺、誘拐犯なの?

 十も年上の男が、我を忘れて何をやっているんだ、と頭を抱えてしまう。

 もしかすると、ハロウィンのあの夜、本当に惚れ薬を盛られていたのかもしれない。歯止めの効かなくなる、そして数ヶ月継続する、強い媚薬だったのかも。

 でなければ──。

 こういう性癖だったら、ただのヤバイやつじゃないか。制服を着た少女をボロボロに犯し、今なお股間が疼いているなんて。

 いや、大丈夫、両想いだから。セーフなはず。

 古風な家柄だと、貴族の令嬢は十六、七で嫁に行くし。犯罪スレスーレだけど犯罪じゃないと思う。たぶん。

 ただ……お嬢様に無茶をさせてしまっていることに、変わりはない。

「申し訳ございません」

 声が震えた。気絶していたお嬢様のおでこにチュウする。綺麗にしなければ。俺の体液で異臭のするお嬢様を、早く元の馥郁たる香りの天使に戻すのだ。

 お嬢様を抱き起こしてから、途方にくれた。

 ビジネス色の濃いシングルルームはシャワーブースしかない。浴槽が無いのだ。

「まあ、今さらだしな」

 お嬢様にまだまとわりついている、テカテカした汁付きの制服を剥ぎ取り、自分もシャツとズボンを完全に脱いだ。

 最新の給湯器を設置したシャワーブースは、調節しなくても、いい感じの湯が二十四時間出てくる。タウンハウスのより有能だ。

 柔らかい裸の体を抱きしめ、シャワーヘッドの下に行き、湯の栓をひねった。

「きゃあっ」

 お嬢様がビクッとなる。あ、そうだった。最新の有能なシャワーブースとはいえ、最初は冷たい水が出るんだよな。

「大丈夫ですか?」

 ぎゅっと抱きしめて、湯が温かくなるのを待つ。お嬢様は何が起きているか分からないまま、アプアプしている。……可愛いな。

「体を洗うだけです。立てますか?」

 犬のようにブルブル首を振って水を払ってから、お嬢様は今さらながら裸に気づき、真っ赤になってまたきゃあっと叫び、両腕で体を隠した。

「……」

 あーっ、もうっ!

 やめてくれない? そういうの。

 抱きしめた腕から大きな乳房が零れ落ちそうになっていて、それがよけいエロいのに、彼女は必死で隠しているつもりなんだ。

「ほんと、勘弁してくれよ」

 素が出てしまった。

「お嬢様、そういうことすると私の執事が復活するんです」

 お嬢様はきょとんとして──萌え!──から、視線を俺の下半身に落とした。それから視線を泳がせて、あたふたしている。

「ど、どうってことないわよ」

 この人は、ずっとこんな初心いツンデレを続けるのだろうか。

 そわそわしながらも、ふてくされたように付け足したお嬢様。

「だってもうネイサンの執事は、執事じゃないじゃない。執事失格なんだから」

 俺のせいで腫れ上がった唇を尖らせる。

「ただの、私の婚約者じゃない」

 俺はハッとなった。

 そうだった。公私混同はしない。

 とっくに俺は、お嬢様の執事ではなく、お嬢様もお嬢様ではない。

「メイベル」

 俺はお嬢様を──違った、メイベルをシャワーブースの壁のタイルに追い詰めていた。

「その通りだね、もう何の遠慮もしないでいいんだ」

 タジタジになるお嬢様を壁ドンする。濡れた肌が光っていて綺麗だ。

「まずは泡塗れにして、ヌルヌルにしよう。君が世界で一番大事なのは、変わらないんだからね」

 そうして怯えるお嬢様──メイベルに、俺はたぶん陰のある笑みを向けた。





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