完結 私の人生に貴方は要らなくなった

音爽(ネソウ)

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サビネが去ってからのショーンの生活は一変していた。
まともに掃除すら出来ない彼はゴミ山を部屋に作ってしまい、近所から異臭と虫の苦情が出ていた。大家からはこのまま善処できないなら退去するように責められている。

全て学ばない己の責任なのだが彼は反省もせず、自分の世話を投げだして逃げて行ったサビネが悪いと腹を立てていた。責任転嫁していなければ生きられない性格をしているのだ。
「なんだよ、どいつもこいつも……こっちの事情も知らないで」
碌な食事も摂れない為に睡眠不足に陥っている、疲弊した彼の相貌は実年齢より老け込んでいた。

その私生活の乱れは仕事にも顕著に表れていて、些細なな失敗ばかり起こしては上司から叱責されることが増えるばかりだ。ほんの少し反省の色は見せるもののそれは表面だけだ。そんな事を繰り返すうちに降格と減給処分を下された。
「そんな!あんまりです、5年以上もここで働いてきたのに」
「だったら仕事をまともにやってみせろい!いくつ資材をダメにしたと思っている!遊びじゃねえんだぞ!」
「だ、だって……くそぅ!」

家具類の部品を作る製造業に従事していた彼は工場長に大目玉食らっては同僚達から冷笑された。製造班の副班長だった彼は先輩風を吹かせる嫌なヤツと陰口を叩かれてきた。それなりの給与を貰っていたが今後は新人と同等程度の報酬に下がるのだ。
私生活ではゴミの家に悩まされ、職場では身の置き場を失ったショーンはどんどん落ちぶれて行く。


「クソッ!なんとしてもサビネを連れ戻さないと……必ず見つけ出してやるからな!」
公私ともにメチャクチャになった彼の生活環境は荒れるばかりである。
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