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狩猟大会2

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昼休憩が終わると午後の部が開始された、各々身支度をして騎士が立っているところを基準に身構える。
雉が数十羽ほど再び放されると皆は猟銃を構えだした。

その時、ターンという銃声の音が響く、あまりに近くで聞こえた為に驚愕する。そこは第二王子ベルトルトがいた所だった。そこは待機場所であり彼はゆっくりと準備していた所なのだ。


「だ、誰だ!?ここは狩猟区域外だぞ」
憤慨した王子は警笛を鳴らしながらそちらに向かう、背後から銃声がしたので注意する為だ。彼は護衛もつけずに足早に駆け寄る。大会ではいつものことだ。

「どこの誰だ!返答次第ではただで済まさぬぞ!」
生い茂る藪の中に蠢く何かが飛び出した、ギョッとするベルトルトである。迷彩服を着こんだその者は悪びれる様子もない。銃とボウガンを担いで手を挙げて歩いて来た。

「貴様ァ!王族に向けて銃を放つとはどういう了見だ!万が一にも私に当たったら事故では済まされないぞ」
ベルトルトは恫喝したが、相手は飄々としている。それが余計に彼を苛立たせた。

「聞いているのか!狼藉もn…………」
台詞の途中でベルトルトは物言わぬ不帰の客と化していた。



***


「え?ベルトルト様が襲われた!?」
「だった者と言った方がいいかも知れない、首を捥がれていて代りに雉が頭部に添えられていた。鬼畜の所業だよ」
「な……なんですって」

大会がお開きになった事で点呼を取っていた所、ベルトルト王子だけが見当たらなかった。急いで探したところカキの木が生えていた場所に彼が発見された。
それは案山子のように磔にされており、首の代わりに雉が乗せられている奇妙なものだった。彼の首は足元にころがっていた、あまりの事に発見した従者は失禁したようだ。



今、ルチアナたちはサンティス侯爵邸の四阿でお茶をしているところだ。

「それで、例のルナの花はあったの?」
「ああ、あったようだ。叢で見落とし兼ねなかったが確かに散らされていたと聞く」
「ふ~ん……同一犯と見て良いのかしら、王女と私……そしてベルトルト王子」

冷茶を嚥下しながら彼女は溜息を吐く、カランと氷が動いて涼やかな音が耳に響いた。彼女はもう一杯注ぐよう侍女にお願いする。

「……いったい何が目的なのかしら、さっぱりわからないわ」
二杯目もあっという間に飲み干して空にした彼女は首を傾げる、一応被害者でもある彼女は事件に関わりがある。捜査にあたっている騎士達に尋問を受けた。

「心当たりはないわ、人に恨まれることなど……」
そう言ってしまってから、ふとサマンサ・アカルデ男爵令嬢の事が浮かびあがる。

「ねぇ、エル。私が知らない間に恨まれたという事はないのかしら?」
「ええ?キミがかい、どうだろう。わからないよ、どうしてそう思ったの」
そう言われて言葉が詰まる、あくまで推測に過ぎないのだから。

「ううん、忘れて関連性がまったくないのだから」
彼女はそういうとズズッと融けた氷水を飲んで嫌そうな顔をするのだった。


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