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前編

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 ――お前は公爵令嬢という身分を鼻に掛け、――を酷く虐めていただろう!
 そんな女は王子妃に相応しくない!
 ……させてもらう!

 ……殿下? 私の話をっ!

 ――うるさい! この者を捕らえよ!……で……にしてやる?

 ――まって……!

 ――さあ、行きましょう、――。あなたはもう、公爵令嬢でも王子の婚約者でもないのです……

 ――誰もあなたを、助けな……

***

「っ!?」
 暗いトンネルを抜けたかのような感覚。目を開けると、そこは雪国――ではなく、白い天井だった。視線を横に動かすと、ずきんと頭が痛んだ。
「いた……た」
「佐藤さん、気が付いたの!?」
 私を覗き込んできたのは、白衣を着た年配の女性だった。医務室の、看護師さん……?
「あなた、貧血で倒れてここに運ばれたのよ、覚えてるかしら?」
「え? 私……」
 そうだ、朝出社して、会議に出て……その後気分が悪くなって。
(……さっき聞こえていた声は何だったんだろう)
 ぼうっとしている私に、看護師さんが話を続けた。
「倒れた時に東条とうじょうさん――あなたの上司だって言ってたけれど、彼がここまで運んでくれたのよ」
 東条。その名前を聞いた瞬間、ちかと光が瞬いたかと思うと、私の目の前に違う世界が広がっていた。

 ――煌びやかなシャンデリア。百人以上は入れる大広間。立派な大理石の柱が等間隔に立っていて、壁にはタペストリーが飾られていた。中世の衣装のような服を着た男女が、手に手を取り合って優雅に踊る。
 そう、そこで、私は。

 金髪碧眼の美男子に、蔑む目で睨まれていた。彼の腕の中には、見覚えのある娘が一人。人を見下すかのような視線を私に投げかけている。
 ――お前は公爵令嬢という身分を鼻に掛け、ファニーを酷く虐めていただろう!
 そんな女は王子妃に相応しくない!
 ……させてもらう!
 
 『お待ちくださいませ、私はそんなっ……!』
 助けを求める私の前に、立ちはだかった黒い影。
 ――あなたはもう、公爵令嬢でも王子の婚約者でもありません。あなたは……

(あああああああああっ! 思い出したっ!)
「~~~~っ!」
 ぎゅっと上掛け布団を握り締めた私に、「気分が悪いなら、まだここで休んでもいいのよ?」と心配そうに言ってくれた看護師さん。いえ、違うんです。思い出してしまったんです。
 ――私、佐藤あやり、二十六歳、OLは。
(前世で、悪役令嬢やってましたああああああっ!)

***

 そう、私はエリザベス=ヴィルマーク公爵令嬢という名の、貴族令嬢だった。もちろん日本ではなく、多分異世界だと思う。
 豊かな栗色の髪にやや釣り目がちな青い瞳。陶器のような白い肌に、薔薇のような唇。レースをふんだんに使ったドレスを着て、宝石の付いた扇子をいつも持っていた。まさに絵に描いたような、美少女だったわよね……。
 思わず、ベッドから壁に掛かっている鏡を見てしまう。そこに映っているのは、量販店で買った紺色スーツを着た、ボブカットの平々凡々中肉中背な女性の姿だった。
(純和風顔の私とは、似ても似つかない……どこ行った、前世)
 エリザベスは二つ年上の第二王子ロッドクリフ=リンドブルグと婚約していた。もちろん彼女が五歳の時に決められた政略結婚だ。
 相手のロッドクリフ王子は、金髪碧眼、すらりと背が高く、詰襟の軍服姿が眼福の、こちらも絵に描いたような美形王子で、エリザベスはそんなロッドクリフに心底惚れていた……のだ。
(今にして思えば、世間知らずの我儘王子だったわよねえ、彼)
 二人は揃って王立リンドブルグ学園に通っていたが、エリザベスよりも成績が思わしくなかったロッドクリフは、彼女を避ける事が多かった。色々口煩く注意してくる彼女が鬱陶しかったのだろう。
「あー、私も青かったわ……」
 プライドが実力に追いついていない若造に、面と向かって忠告したって、だめだめだよね。生真面目なエリザベスは、第二王子の教育係も兼ねていたから、余計に何とかしないとと思ってしまったのだろうけど。
 ……まあ想像通り、可愛くて自分の事を『頑張ってらっしゃるお姿が素敵です!』なんて持ち上げてくれる、ファニア=ランスタッド男爵令嬢に王子の心は盗まれてしまうのだ。
 そして、婚約者のいる男性に近付くなとエリザベスはファニアに忠告するが、彼女はまるっと無視し、ロッドクリフと学園内でいちゃいちゃべたべたを繰り返した。そのおかげで、エリザベスは深く傷つき、その傷を隠すために尚一層ファニアに注意する――という悪循環になっていた。

 ――そして、ロッドクリフが卒業する年の記念パーティーで、エリザベスは彼から婚約破棄を言い渡されてしまうのだった。  

 その後、エリザベスがどうなったのかまでは、思い出せていない。多分思い出したくもない過去なんだろうなあ。
 ロッドクリフとその腕の中にいるファニアに抗議しようとして、あの男に捕まえられ、どこかに連行された……までは覚えているんだけど。
「私、命あったのかしらね」
 ロッドクリフの従兄で、ランディス公爵家の跡取りにして宰相の息子、キース=ランディス。漆黒の髪と瞳という、あの世界では珍しい色合いの男。あの男に腕を掴まれたところまでは、思い出している。
 整いすぎて怖いくらいの顔に、騎士団顔負けの剣の腕を持つ彼は、次期宰相としての才能を認められた、超エリートだった。でもエリザベスは彼が苦手だったのよね。何考えるのか分からない、あの雰囲気に気圧されてたから。
 うん、思い出すのはやめよう。もう過去だし。そう思った私の頭に、ふとひらめくものがあった。ロッドクリフにファニア、そしてキースの顔がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「似てる……?」
 顔が瓜二つという訳じゃない。けど、雰囲気がそっくりだ。日本人になってる部分もあるけど、でもまさか。
 いやーな予感に、二の腕に鳥肌が立った。

「私、もしか、して」
 ――また、前世と同じ運命を辿ってる……!? あの人達も、私と同じように……転生しちゃってる……!?

 呆然とした私の顔を見て、看護師さんは「しばらく休んで行きなさいね。部署には私から連絡しておくから」と言ってくれたのだった。

***

 貧血が治まると、頭痛も徐々に引いていった。休んだ方がいいわね、という看護師さんのアドバイスを聞き、医務室を後にした私は、庶務部を目指した。扉を開けて部屋に入ると、一番会いたくなかった人物がいの一番に近寄ってきた。
「佐藤、大丈夫か? まだ顔色が悪いが」
(キターっ!)
 私はごくんと生唾を呑み込み、私よりも頭一つ分は背が高い彼の顔を見上げた。鼻筋の通った、ぱっと人目を惹く美形だ。ダークブラウンのイギリス調スーツがよく似合ってる。
「だだだ、大丈夫です、東条課長っ。あの、医務室まで連れて行って下さってありがとうございました」
 庶務部第一課の課長で私の上司、東条 はやと、三十五歳。どうしてこの人が庶務部にいるんだ、と誰もが思う切れ者だ。
 俳優並みのルックスに、高身長、筋肉質の身体、そして仕事も出来る、と神がいくつもの恩恵を与えた彼は、海外で支社長にまで昇りつめた人だ。それが、四年前に帰国した際に何故か庶務部を志望し、他部からの熱烈ラブコールを蹴って課長に収まった、という逸話の持ち主。未だに同期の部長たちは、あいつ何考えてるんだ、こっちこいよ、と誘いを掛けているらしい。
 実際、庶務部の作業は課長が来てからかなり効率化され、全社的にも処理の待ち時間が短くなったとか、書類申請が簡単になったとか、成果は着実に出しているらしいが。
(あああ、そんな事はどうでもいいのよ! この人があの人・・・だっていう事が問題なのよーっ!)

 ――エリザベスを捕らえ、実際に手を下した男。キース=ランディスに間違いない。

(本当、思い出したくなかった……)
 王子の命令だって言って、エリザベスを舞踏会から連れ出して。その後の事思い出せないけど、絶対前世の私、この男(の前世)に殺されたに決まってる。よくて、娼館に売り飛ばされたとか、そんなところじゃないかと思う。 
 冷徹で手段を選ばない。目的の為なら、悪魔にでも心を平気で売り渡す男。それがキースだ。
 何となくこの人に対して苦手意識があったんだけど、理由が分かった。前世からのトラウマが原因だよ。よし、これからも避けまくる事にしよう。
(一気に過去を思い出したら、気力も体力も奪われたわ……)
「すみません、貧血が酷くて。今日はこのまま後半休させてもらってもいいでしょうか……」
 俯き気味に小声でそう言うと、お腹の底まで響く低い声がした。
「ああ、分かった。すぐに帰りなさい。帰りは一人で大丈夫か?」
 心配そうに眉を顰める課長の顔が、綺麗すぎて怖いです。キースも心はともかく、顔だけは綺麗だった。
「だ、大丈夫です。タクシー使いますから」
 ほほほと愛想笑いをした私はそそくさと自席に戻り、ぱたぱたと片付けを開始した。東条課長も自分の席に戻り、なにやらパソコンをチェックし始めている。
「えっと、これは明日まででよくて、こっちの書類は……って、あれ?」
 私の左隣の席には誰もいない。眉を顰めると、私の真向かいに座る木村君が声を掛けてきた。
「広川さんなら、倉庫に行ったよ。片付けないといけないものがあるからって」
(どうしてあの子が倉庫に? いつもそういう地味な作業嫌がるくせに)
 広川 愛海ひろかわ あいみは二つ年下の後輩。見た目、きゅるるんって感じの可愛らしさを押し出している彼女は、男性社員からは人気があるが、女性社員からは目の敵にされている存在。面倒な仕事を人に押し付け、目立つ仕事ばかりをしたがるからだ。おまけに男性社員の前ではあからさまに態度が違う。ここまでくると、逆に清々しいのかもしれない。
『愛海ちゃんって、か弱くて守ってあげたくなるよねえ』なんてほざく男性社員に、けっ!と思っている女性社員も少なくない。
(でもこの資料、期限今日中だから彼女に返さないと)
 彼女は机の上にメモを置いてても、『ごめんなさーい、見てませんでしたあ』なんて平気で言う。直接渡すのが一番よね。
 そもそも、これは愛海担当分の資料作成だが、『私、忙しくってえ。あやり先輩ならかんたんですよねえ』なーんて言われて押し付けられて。抗議しようとしたら『それくらい、いいだろ。愛海ちゃんの方がお前より忙しいし』って彼が言ったんだよねえ……。
 愛海と彼。もしかしなくても……
(頭が痛い……)
「……ありがと。倉庫に行ってみるね」
 なんか彼女に文句言われそうだな~と溜息をつきつつ立ち上がったら、何故か課長も立ち上がっていた。 
「え、課長?」
 私に近付いて来る課長に私が目を丸くすると、「また倒れたら困る。倉庫まで付き添うから、ついでにそのまま帰宅しろ」としれっと言われた。
「う、あ、はい」
 ここは二階で倉庫は地下だ。確かにそのまま帰ればついでだけれど。 
「あの、そんな課長のお手を煩わせるのは」
「また医務室に連れて行く羽目になる方が、煩わしいが?」
 ぴしゃりと言い返された私の口から、反論の言葉は出なかった。私は渋々(ほんとーに渋々)「分かりました」と頷き、鞄を引き出しから取り出して左肩に掛けた。例の書類を右脇に抱えた私の隣に課長が並ぶ。威圧感が半端じゃないっ……! 
(やだなあ、もう)
 とにかく、さっさと書類を渡して帰ろう。無言のまま二人きりでエレベーターに乗り、地下に降りる。地下は倉庫しかないから、廊下にも人気はない。かつかつと廊下を歩く音だけが響く。
「あ、ここですね」
 倉庫と書かれたドアの前で私は立ち止まり、ノブに手を掛けたその時――中から甲高い声がした。
「……っ、ああんっ」
「愛海っ……!」
(へっ!?)
 ずきん、と頭が痛む。この展開はっ……!
 思わず私が固まると、眉を顰めた課長が私の後ろから手を伸ばし、ノブを回した。そのまま彼は、ドアを押して私よりも先に中に入る。
「誰かいるのか?」
 容赦ない詰問の声に、悲鳴が上がった。
「きゃあっ!」 
「んあっ!?」
(あああ、嫌な予感がするっ!)
 そう思いながらも、課長の背中越しに中を見た私は、長机の上に押し倒した女性に被さる男性の背中を見て……あちゃあと頭を抱えたのだった。

「……こんなところで何してるんだ、お前達は」
 ずらしたズボンを慌ててあげる男に、机の上で大股開きしてた女が慌てて身支度してるのを見てるというのに、声に乱れ一つない。
「な、なにって」
 バックルを締めてこちらを向いた男は、私の同期で営業の松田 聡志まつだ さとし。俗に言うイケメンだけど、その顔は盛大に引き攣ってる。ワイシャツのボタンは二つ外れてて、紺色のネクタイも歪んでるよ。机の上に広げたグレーのスーツの上着も皺だらけだし。
 一方、捲ったフレアスカートを手で押さえつつ、机から下りた女性が愛海だ。白のブラウスに薄ピンクのスカートという可愛らしい恰好をしているにも関わらず、ふんと不機嫌そうな表情をしている彼女は、こんな時でもふてぶてしい態度を崩さないらしい。
(普段行きたがらない倉庫に行く理由がこれって……)
 綿菓子みたいなふわふわの髪に、大きな瞳のお人形みたいな顔してるのに……台無しだわ、これじゃ。
 課長の表情は私からは見えないけど、全身から氷のオーラが出てるのが感じらる。
「広川。お前、忙しいからと自分の仕事を佐藤に押し付けてたんじゃなかったのか。その用事がこれか?」
 一瞬、うっと言葉に詰まった愛海が、課長に媚びるような顔をした。
「ちっ、違いますよぅ。倉庫の整理に来たら、たまたま松田さんに会って……その、私達付き合い出したばっかりだったから、つい」
「はあ!?」
 思わずすっとんきょうな声を上げた私に、聡志と愛海の視線が突き刺さってきた。私は一歩前に出て、課長の左隣に立った。
「お前っ、どうしてここに!?」
 慌てる聡志に、私は書類の束を振って見せた。
「私、体調崩して後半休するから、広川さんに頼まれた仕事出来なくなったのよ。それでこれ渡そうと思って」
「えーっ、ひどいじゃないですか、あやりさん。やるって言ったくせに」
 唇を尖らせる愛海に、冷静な声が落ちた。
「業務時間中にこんな事をしてるお前に、文句を言う資格はない。さっさと受け取れ」
「はぁい」
 私が書類を渡すと、愛海はぎらりとこちらを睨み付けて来た。でも、そもそもそれ、あなたの仕事だからね?
「あ、そうだ。ちょうど良かった」
 にやりと悪魔の笑みを浮かべた愛海が、聡志の右腕に自分の左腕を絡ませた。
「私達、お付き合い始めたんです。ね、聡志さん?」
 私を見る聡志の視線は、ぶれぶれだった。
「あ、ああ」
「だからね? あやりさん……」
 嘲笑う愛海からは、いつものきゅるるんの雰囲気も消えていた。
「もう、聡志さんに付き纏わないで下さいね? 一々細かいあなたの事、うっとうしくて、別れたかったんですって。私だって、あなたにいっつも意地悪ばかり言われて悲しい思いをしてたんですよ? それにあやりさんより私の方が可愛いって言ってくれてますし。なーんにもしてくれないあやりさんより、私の方が魅力的なんですって」
「あ、愛海」
「そうですよね? 聡志さん?」
「あ、ああ……」

 ――うわーうわー、私前世に引き続き、男見る目なかった……
 
 付き合ってくれって聡志に言われたのは、三ヶ月ほど前の事。同期だし、気心も知れてるからと応じたけれど、お互い仕事が忙しくて、デートだってまだ数回しかしてない状態だったんだよね。
 何度かホテルに誘われたけど、愛海の仕事の後始末で残業が続いてて、そういう気になれなくて断ってたら……こうなっていたと。
(これって、あの弾劾の場の繰り返しだよ)
 確かに聡志にはあれこれアドバイスはしたけれど、社内手続きを遅らせるなとか会計に間に合うように伝票出せとか、そんな基本的な事しか言ってない。愛海にだって、仕事の期限を守れとか、えこひいきするなとか、そういう類いの注意ばっかりだ。

 ――あああ、この優柔不断さにこのふてぶてしさ。もう確定。聡志がロッドクリフ王子で、愛海がファニア=ランスタッド男爵令嬢で間違いないわ。

(救いは、あの時みたいに聡志に惚れ切ってた、って訳じゃないことよね)
 驚いたし、呆れたけれど、胸の痛みは驚く程少ない。聡志の事、好きになる前だったから。本当に好きになった後にこんな事されてたら、きっと深く傷ついていたに違いない。セーフだ。
(危なかった……)
 前世を思い出したタイミングもぎりぎり間に合った。それがなかったら、この納得感は得られず、文句言ってたかもしれない。私はほっと胸を撫で下ろした。
 聡志が意を決したように、私を見る。その視線に、過去の視線が重なった。 
「……あやり。俺は「ああ、もういいから! 私の事は気にしないで!」」
 彼の言葉を遮ると、愛海と二人、ぽかんとした表情を浮かべた。私は口を挟ませない速さで言葉を続けた。 
「いいわよ、二人好き同士なんだから、幸せになってね。私はもう関係ないし。……ではこれで、失礼します」
「佐藤?」
 ぺこりと頭を下げた私は、足早に倉庫から立ち去った。後の事は知らん。もうあの三人には関わりたくない。その一心で足を動かす。
(後始末は頼みましたよ、課長ーっ)
 まあ、あの課長キースの事だから、いいように処分してくれるだろう。なにせ彼は、業務怠慢を一番嫌っている。人に仕事を押し付けて、倉庫でいちゃいちゃなんて、彼にとっては以ての外のはずなのだ。
(ええ、もう私は関係ございません。どうぞあなた達で勝手にやって下さい)
 ――痛む頭を抱えつつタクシーに乗った私は、そればかりを考えていた。これで、弾劾も終わった?し、前世からの因縁も切れたはず。さっさと家に帰って寝て忘れよう。 
(私は、自由だっ!)
 聡志と愛海がくっついたなら、もう私には絡んで来ないはず。前世だと修道院に行けだの、娼館に売り飛ばされるだのあったけれど、現代日本では大丈夫だ。私の方が被害者だけど、もう面倒だから黙っていよう。課長だって言い触らしたりしないだろうし。これが一番良かったんだよね、きっと。


 ……とまあ、この時までは思っていたのだ。本当に。
 前世からの因縁とやらが、私の想像以上に深かった事に気が付いたのは、この後すぐの事だった―― 
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