諦めない男は愛人つきの花嫁を得る

丸井竹

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39.生まれ変わった夜

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 王墓の呪いが解け、五年の歳月が過ぎた。
 
 吸い込まれそうな青空の下、王墓の庭では子供たちが遊んでいる。
その足元にはパールの子供達が五匹も駆け回り、時々小さな炎があがる。

それをパールと、雄の白犬がじっと見守っている。

いつもはソフィもそこに加わるが、今日はべったりテーブルに張り付いて、その様子を眺めていた。
というのも、昨夜遅くにルドガーが館に戻ってきたのだ。
ぐっすり眠っていたというのに、ルドガーは強引にソフィの体を求め、いつものように朝方まで眠らせてくれなかった。

愛する夫であることは変わらないが、ルドガーの少々行き過ぎた情熱は、時々ソフィの頭をぼんやりさせてしまう。
と、館の扉が開き、いつもと変わらない様子のルドガーが現れた。

「ソフィ、眠そうだな。少し無理をさせたか?」

向かいに座り、ソフィの顔を優しい眼差しで覗き込む。
ソフィは困ったように微笑み、小さく首を横に振る。

「嘘だな。今夜はぐっすり眠ろう。イーゼンにも伝えておく」

半分眠りかけていたソフィの意識がぱっと覚醒した。

「イーゼンが来るの?」

二人がいるのに静かに眠れるわけがない。
困惑した様子のソフィに微笑みかけ、ルドガーがその手を握る。
と、視線が道の方へ向いた。

ソフィもつられてそちらを向く。
子供達の声に気を取られ、気づかなかったが、斜面の下から馬蹄の音が聞こえてくる。

かすかに馬車の音が混ざっている。
ルドガーがソフィの手を引き、道の真ん中に連れ出した。

待つほどもなく、斜面の下から赤毛のイーゼンの姿が現れた。
イーゼンは馬を下り、手綱を柵に繋ぐと、二人の傍に駆けてくる。

「連れてきたぞ」

ソフィに微笑みかけながら、ルドガーに声をかける。

少し遅れて、幌付きの商人用の馬車が上がってきた。
馬を止め、御者席から帽子を被った長身の男が下りてくる。
皮のマントが翻り、分厚いブーツが力強く地面を踏みしめる。

ルドガーが耳元で囁いた。

「ソフィ、俺達は後ろにいる」

夫二人が後ろに下がると、ソフィは大きく深呼吸をして、向かってくる男を待った。

男は、ソフィまで数歩の距離を残し、膝を落とした。
その頭にはまだ帽子がある。

「ソフィ……」

聞き覚えのない声で名前を呼ばれ、ソフィは小首を傾げる。

長く大きな腕が持ち上がり、男が帽子を取った。
陽光のような金色の頭が露わになり、顔がゆっくり上を向く。

鋭く引き締まった頬と日に焼けた肌、柔らかな目元に髭を蓄えたごつい顎。
そして、少し珍しい輝く紫の瞳。

緊張と驚きに胸を震わせながら、ソフィは声を絞り出した。

「まさか……兄さん?……」

ソフィと同じ色の瞳から涙が溢れ、男は小さく頷いた。

「すまなかった……」

やはり聞き覚えの無いその声に、兄の面影を探そうと、ソフィは男の顔をじっと見つめた。

記憶にある兄の姿は、まだ少年だ。
二人が別れた十年前の年齢を考え、ソフィは愕然とした。

幼い妹にとってたった一人の兄は親代わりであり、大人と同じだった。
だけど、兄だって子供だったのだ。
二人で手を取り合ってもいきられないほど幼く、あまりにも非力だった。

「兄さん!私も、ごめんなさい」

兄を困らせ、泣かせてきたことを思い出し、ソフィは迸る感情のままにネッドに抱き着いた。
ぶわりと込み上げる涙と共に、故郷を出てからの苦しかった日々が蘇る。

奴隷になった孤独と恐怖。それからフィリス家に売られ、王墓の存在を知った時の希望と、自ら王墓に入らなければならない運命を悟った時の絶望。

最初は心細くてたまらなかった。
フィリス家で訓練や勉強を始めても、ずっと恐怖の中にいた。
心の支えは、やはり会えなくなった兄の存在だけだった。

村の人達の前では怒ってばかりだったが、兄は家に帰ればソフィを抱きしめ、背中を何度も撫でてくれた。
恐ろしい物を見た夜も、兄は黙って一緒に眠ってくれた。
兄の腕の中にいれば、いつだってソフィは心の底から安心出来た。

だから売られても、怒鳴られても兄の愛を信じ続けることが出来たのだ。
ルドガーに会わなければ、その思い出だけを胸に冷たい石の中で息絶えていただろう。

「すまなかった、ソフィ。俺は……俺は……ずっと後悔していた」

ソフィを抱きしめるネッドもまた、記憶の中の幼いソフィの姿を思い出していた。
大人の女性になっても、腕に抱いた時に込み上げる愛しさはあの頃と変わらない。

二人で抱き合い眠った夜や、ソフィを罵倒してしまう自分の心の弱さを憎んだ日々。
離れてからもずっとソフィのことを想い続けた。
自分を殺したいほど憎みながら、いつかソフィを助けられる強い男になりたいと願っていた。

ウヴィアヌ国の行商人として成功できたのはその強い想いがあったからだ。

ソフィが濡れた顔をあげた。

「兄さん……私、幸せになったの」

心配ばかりかけてきた兄に、もう大丈夫だと伝えなければならない。
その想いを胸に、泣きながらソフィは笑った。

ネッドの顔がくしゃりと歪んだ。
最初に届けられたその言葉が嘘だったことはもうわかっている。
妹が命を懸けて、川の呪いを消し、ネッドの病を治そうとしていたことも。

ネッドは抱きしめたソフィの頭越しに、二人の騎士の姿を確かめた。
立派な隊服に身を包み、守護神のようにソフィを見守っている。

その後ろには大きな青い館がそびえ、周囲には美しい庭園が広がっている。
道の脇には、目を輝かせた子供達の姿がある。
さらに、主人の命令を待つ、頼もしい番犬たちまでいる。

ソフィが多くの人々に支えられ、守られていることを確かめ、ネッドはソフィの背中を昔のように優しく撫でた。

「ありがとう、ソフィ」

ネッドと無事に再会し、思いを伝えられた喜びに、ソフィは心の底からほっとした。
自然に力が抜け、そこに付け込むように、睡魔が一気に押し寄せた。

ふらりと倒れてきたソフィの体をネッドが驚いて抱き上げた。

「ソフィ!」

ただならぬネッドの声に、ルドガーとイーゼンもソフィのもとに駆け付ける。
青ざめた男達の顔が、すぐに安堵の表情に変わった。

ネッドの腕の中で、ソフィは幸福な微笑みを浮かべ、心地よさそうな寝息を立てていた。

「ありがとう……」

小さな呟きが漏れ、ソフィは寝返りを打った。
その顔がネッドの胸に押し付けられる前に、ルドガーがすかさずソフィを抱き上げた。

眠っているソフィは、そのままルドガーの胸に顔を埋める。
イーゼンが、ネッドの肩を叩いた。

「さあ、歓迎会の準備を手伝ってもらうからな」

ネッドの歓迎会の準備をネッドが手伝うというのもおかしな話だったが、ネッドはもう客人ではない。
新しい家族を迎え、一同は館に入った。



 その日、王墓の地は計り知れない幸福な感情に包まれた。
それは、霊能者の強い力と結びつき、王墓の地に刻まれてきた悲しみや怒り、呪いといった恐ろしい記憶をすっかり消し去った。

この世に留まる霊魂もなく、それを目撃した生者もいなかった。
ただ、館からこぼれる温かな光の中で、王墓は幸福な夢を見始めた。



――

三年後。


 
「ウヴィアヌ国の珍しいお菓子が手に入った」

仕入れたばかりのお菓子の箱を開けたネッドが、テーブルの大皿に色鮮やかなケーキを並べる。
それを手伝うのは妻のオリ―で、お腹の大きなソフィに、座っていてねと言葉を添えた。

もうじき臨月のソフィの手を、隣に座る夫のルドガーが握っている。
そこに、子供達と遊んでいたもう一人の夫が戻ってきた。

「子供たちの体力は底なしだな」

イーゼンがソフィの頭を抱き寄せ、その額に唇を当てる。
五人の大人がテーブルに着くと、久しぶりのお茶会が始まった。

ネッドが商売の話を始め、ルドガーとイーゼンが話せる範囲で国内外の情報を伝える。
国は豊かになっているが、人が増えた分事件も増えた。

相変らず外に出られないソフィは、わずかな疎外感を抱いてしまう。
そうした感情も、既にソフィの人生の一部になっていた。

と、明るい笑い声と共に、お腹をすかせた子供たちが一斉に戻ってきた。
大量に並べられていたお菓子が、それぞれのお皿に運ばれていく。

子犬達も白い陶器の皿に注がれたミルクを舐め、骨付き肉をほおばり始める。

お腹がちょっと落ち着くと、子供たちのおしゃべりが始まった。
学校のことや、家庭教師から聞いたこと、友達の話など外の世界のことを一斉に話し出す。

そんな、賑やかな会話に耳を傾けていたソフィは、ふと何かに引き寄せられるように横を向いた。
広場の端に透けて漂う姿があり、助けを求めるようにソフィの方を見つめている。
それはソフィにしか見えないものであり、誰も気にとめないものだ。

楽しいお茶会の空気を壊さないよう、ソフィは咄嗟に目を伏せた。
その瞬間、大きな温かな手がソフィの腕を掴んだ。

驚いて視線を上げると、ルドガーが席を立ち、ソフィの腕を引っ張っている。

「ルドガー?」

場の空気を乱さぬよう、小さく問いかけるソフィの声を無視し、ルドガーは少々強引にソフィを椅子から立ち上がらせる。

戸惑いながらソフィがテーブルを振り返ると、穏やかに微笑むイーゼンと目があった。

イーゼンは行っておいでと促すように手を振っている。
隣のネッドとオリーに視線を向けると、二人も微笑みながら頷いた。
子供達はまだ目の前のお菓子とおしゃべりに夢中だ。

ルドガーに引っ張られ、急いでソフィも前を向く。
庭園の端まで来ると、ルドガーが足を止めた。

「何か見えるのだろう?」

驚いてソフィはルドガーを見上げた。
何も見えるはずのないルドガーは辺りを見回している。

全く見当違いの方向を見ているルドガーに、ソフィは泣きそうな顔で小さく頷く。

すぐ傍に青白い女性が困ったように立っている。
ソフィが移動しようとすると、ルドガーが先に動いた。

「そっちか?」

「あっ……」

ソフィが小さく声をあげた。
ルドガーの体に顔を貫かれ、霊魂がもやもやと揺れている。

すぐに身を引き、ルドガーがまさかここにいるのかと、ソフィに視線で問いかける。
ソフィは笑いながら頷き、小さな霊魂に力を向ける。
金色の光が降り注ぎ、天への道が出来る。

それもまた、ソフィにしか見えていない。
それでもルドガーは傍にいる。
ソフィの腰を抱き、その頭に唇を押し当てる。

「無事にあがったか?」

優しい声音に、ソフィは涙ぐみながら最愛の夫を振り仰ぐ。

「ええ……」

温かな腕に包まれ、ソフィは不安そうに囁いた。

「こんなに幸せで大丈夫かな……」

誰にも理解されない苦しみに耐え続けた日々の記憶は、どうしても消すことは出来ない。
大半の人はまだソフィを気味の悪い存在だと思っている。
今は幸せだが、それが長く続くだろうか。

迷いなく、ルドガーが明るく笑った。

「君を守っているのは俺だけじゃない。大丈夫だ。不安ならもう一人、夫を増やすか?」

ルドガーは、やると言えば本当にやりとげてしまう。
寝台に三人の男がいる光景を思い浮かべ、ソフィは真っ赤になって、拳でルドガーの胸を軽く叩いた。

ルドガーはその小さな拳を掴み、熱い唇を押し付けた。

「冗談だ」

その目は笑っているが、ソフィが望むならいつでも探してくるぞと告げている。

ルドガーは百年越しの悪霊さえも退けたこの世で最も頼もしい男で、イーゼンは親友のため、命がけでソフィを助けに来てくれた信頼に値する立派な男だ。そんな素晴らしい夫が二人もいる。

その愛に相応しい自分にならなければならない。
その決意を込め、ソフィは雄々しく微笑み、伸びあがって夫の耳に囁いた。

「もう十分よ」

不敵な笑みを浮かべる夫の目には、確かな愛が宿っている。

「ありがとう」

二人の背後から弾けるような笑い声が聞こえてきた。
振り返ると、お菓子の時間が終わり、子供たちが椅子から飛び出していくところだった。
子犬たちがそれを追いかけ、パールと雄犬もそれに続いて腰をあげる。

その向こうにはイーゼンとネッド、オリーの姿がある。
途切れることなく広がる青空の下、愛する家族が待っている。

これ以上ない幸福な光景に抱かれ、ソフィは夫の温かな手を大切に握りしめた。

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