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海が駄目なら陸を行け!歩ける城ぞ頼みなる
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「死霊術を向こうに回して、戦う覚悟を決めた者たちにとって、幸運なことに、神は生ける者を見放してはいない。決意を胸に一歩も引かぬ勇者たちと、信仰の砦に籠り頑強に抵抗する信徒たちに、神は祝福を与えるのだ」
「津波の如き死者の群れも、忌まわしき呪いの言葉も、敢然と立ち向かう者を、簡単には暗黒の世界には引きずり込めない。同じく死者を弄びながら、闇に背を向けた裏切り者どもが協力するなら猶更だ」
ある死霊術の大家の手紙
「混沌の神に背を向けた背教者どもは、英霊と称する哀れな奴隷を、惨めな神々の偶像に縛り付け、見た目だけは豪勢な武具に宿して己の先兵としている」
「忌々しいことであるが、これら聖なる(お笑い草だ。セイントなど、この世に存在しない)兵器は、真の死霊術師にとって大敵である」
「聖別された動く石像、己の意思で戦う三段櫂船、燃え盛る浄化の炎を打ち出す投石器、背教者は神の祝福と偽り、死霊術を悪用しているのだ」
「だが兄弟姉妹よ恐れるな。それらは全てまやかしである。あるのは永遠たる混沌と暗黒のみだ、全ては堕落神の御手にある」
「穢し尽くすのだ!死を持って!所詮奴らの術など、児戯でしかない!血と腐敗の機械の前にあって、自分たちが、いかに無力な存在であるか思い知らせてやるのだ!」
ダークエイジ オブ フォールン エンパイア DLC 「レイズデッドウェポンズ」フレーバーテキストより。
老いた巨獣が戦線を蹂躙している。
果敢に抵抗する戦車を踏みつけ、重砲の火力に血を、腐った血を流しながら、それでも進撃は止まらない。
巨獣、それは、かつて「定遠」と呼ばれていた。
そして、巨獣、、、戦艦「定遠」は、死して尚続く辱めに、慟哭の叫びである、305mm連装砲の咆哮を上げた。
巨獣は一匹ではない。
同じく戦線を蹂躙する物、後方より、陸上兵器とは比べ物にならない、大口径砲を降り注がせる物など、数十匹はいるであろう。
その中の一匹、最大の大きさを誇る戦艦「土佐」の艦橋で、死霊術師は、、、、、
「おぅええーーー、ごぼ、、うぇうぇ、、げぽっ」
吐いていた、、、、、唯でさえ血色の悪い顔を青白くして、今日の昼飯を吐瀉していた。船酔い?この場合はなんと言うの分からないが、三半規管をやられて唸っていた。
仕方がないだろう。陸上を行く巨獣たちは、四本ある足で歩いているのだから、ドシン、ドシンと揺れる揺れる。
これでは船に慣れた人間でなければ気持ちが悪くなるのも当然だ。
戦艦が歩く。四本の足で大地を踏みしめ、ノッシノッシと歩いている。
馬鹿じゃないの?思わず言いたくなる。
だがこれは現実。確かに艦船が歩いて戦場を支配している。
その足は骨と腐肉の混交物でできていて、壊れた船体もまた、骨とエクトプラズム的な何かで。一応の修理を受けていた。
吐き出す砲火は、良く見れば叫びを上げる髑髏の形、乗り込む船員も、かなりの人数が、船体から生えている、フジツボだらけの死体である。
言わずもがなであるが、この巨獣たちは幽霊船だ。実態はあるので、ゾンビ船と言った方が良いかもしれない。
これらは、ダークエイジ オブ フォールン エンパイア DLC 「レイズデッドウェポンズ」で追加された新要素、死霊兵器の力だ。
光の軍勢に与した死霊術師が開発し、戦場に投入してきた巨大兵器に対抗するための、暗黒の魔術が生み出した悪夢の兵器たちと言う設定がある。
因みに、ゲーム中では、朽ちた兵器か鹵獲兵器しか利用できず、使い勝手が悪く、ひたすら鹵獲作業に勤しむ羽目になるので、悪の死霊術プレイをする者にとっては、不人気DLCだった。善プレイ、テコ入れ要素と陰口を叩かれたそうである。
これを投入したのは、永山の一存ではない。海軍からのヘイトが限界に達したからだ。
そうだろう。新規建艦ゼロ、更新なし、規模据えき処か、縮小を、世界に、前政権はぶち上げて退陣したのだ。
そして、次の政権もそれを継承。海軍大臣は、抵抗一つせずに丸呑みしたのであるから、第二次第三次226が続発しそうな程、海軍はフラストレーションを貯めていた。
既に大部分の上層部は、不死者にとって変わられ、騒ぎ立てるのは中層、下層の人間に限られていたが、これは問題である。
永山としては、二次大戦が、最高潮に達した段階で、溜めに溜めた、死者の本流で、全てを押し流そうと言う計画ではあったが、やいのやいの言う連中が五月蠅いのと、不死者と化した海軍上層にさえ、永山の方針を不安視する者も出始めた。
そこで今回の投入である。
永山が、直接現地に出向いているのは、そのせいだ。
突貫工事も良い所が現状なのだ。朽ちた艦船を蘇らせる処から、支配して戦場に持ってくるまで、やってるのは全部、永山本人である。
だから体調最悪。死霊術師が、過労で死にそうなんて、洒落にもならないが、本人ふらふらである。
「誰か、、止めて、、、もう限界、、、」
息も絶え絶えで、永山は喘いでいるが、心配する者は、、、いない。
皆、陸を行く黒鉄の城塞が、ソ連軍を蹂躙するのに夢中だ。
「良い、、、」
「良いですねぇ」
「陸軍、要らないんじゃないかなこれ?」
「いっそ、連合艦隊全部、陸海共用にしますか?陸軍は吸収で」
上から船幽霊として参戦のOB組、東郷、秋山、まだ生きていたが魔界転生した佐藤。最後はお目付け役の黒島である。
「おい、、誰か僕の心配を、、、、」
「良いなそれ!」
「流石、我が後輩!天才だな!」
「でしょ!おーい永山君、そこで死にかけてないで、私の発案を陛下にだなぁ、、、」
好き勝手言ってる。
「不死者は不人情だ、、、」
永山は、ゲロに塗れて一人さめざめと泣いた。
同日、初瀬、八島、ペトロパブロフスク、セヴァストポリを含む、巨獣の群れがウラジオストクに突入、ソ連側を大混乱に叩き込むことになる。
「津波の如き死者の群れも、忌まわしき呪いの言葉も、敢然と立ち向かう者を、簡単には暗黒の世界には引きずり込めない。同じく死者を弄びながら、闇に背を向けた裏切り者どもが協力するなら猶更だ」
ある死霊術の大家の手紙
「混沌の神に背を向けた背教者どもは、英霊と称する哀れな奴隷を、惨めな神々の偶像に縛り付け、見た目だけは豪勢な武具に宿して己の先兵としている」
「忌々しいことであるが、これら聖なる(お笑い草だ。セイントなど、この世に存在しない)兵器は、真の死霊術師にとって大敵である」
「聖別された動く石像、己の意思で戦う三段櫂船、燃え盛る浄化の炎を打ち出す投石器、背教者は神の祝福と偽り、死霊術を悪用しているのだ」
「だが兄弟姉妹よ恐れるな。それらは全てまやかしである。あるのは永遠たる混沌と暗黒のみだ、全ては堕落神の御手にある」
「穢し尽くすのだ!死を持って!所詮奴らの術など、児戯でしかない!血と腐敗の機械の前にあって、自分たちが、いかに無力な存在であるか思い知らせてやるのだ!」
ダークエイジ オブ フォールン エンパイア DLC 「レイズデッドウェポンズ」フレーバーテキストより。
老いた巨獣が戦線を蹂躙している。
果敢に抵抗する戦車を踏みつけ、重砲の火力に血を、腐った血を流しながら、それでも進撃は止まらない。
巨獣、それは、かつて「定遠」と呼ばれていた。
そして、巨獣、、、戦艦「定遠」は、死して尚続く辱めに、慟哭の叫びである、305mm連装砲の咆哮を上げた。
巨獣は一匹ではない。
同じく戦線を蹂躙する物、後方より、陸上兵器とは比べ物にならない、大口径砲を降り注がせる物など、数十匹はいるであろう。
その中の一匹、最大の大きさを誇る戦艦「土佐」の艦橋で、死霊術師は、、、、、
「おぅええーーー、ごぼ、、うぇうぇ、、げぽっ」
吐いていた、、、、、唯でさえ血色の悪い顔を青白くして、今日の昼飯を吐瀉していた。船酔い?この場合はなんと言うの分からないが、三半規管をやられて唸っていた。
仕方がないだろう。陸上を行く巨獣たちは、四本ある足で歩いているのだから、ドシン、ドシンと揺れる揺れる。
これでは船に慣れた人間でなければ気持ちが悪くなるのも当然だ。
戦艦が歩く。四本の足で大地を踏みしめ、ノッシノッシと歩いている。
馬鹿じゃないの?思わず言いたくなる。
だがこれは現実。確かに艦船が歩いて戦場を支配している。
その足は骨と腐肉の混交物でできていて、壊れた船体もまた、骨とエクトプラズム的な何かで。一応の修理を受けていた。
吐き出す砲火は、良く見れば叫びを上げる髑髏の形、乗り込む船員も、かなりの人数が、船体から生えている、フジツボだらけの死体である。
言わずもがなであるが、この巨獣たちは幽霊船だ。実態はあるので、ゾンビ船と言った方が良いかもしれない。
これらは、ダークエイジ オブ フォールン エンパイア DLC 「レイズデッドウェポンズ」で追加された新要素、死霊兵器の力だ。
光の軍勢に与した死霊術師が開発し、戦場に投入してきた巨大兵器に対抗するための、暗黒の魔術が生み出した悪夢の兵器たちと言う設定がある。
因みに、ゲーム中では、朽ちた兵器か鹵獲兵器しか利用できず、使い勝手が悪く、ひたすら鹵獲作業に勤しむ羽目になるので、悪の死霊術プレイをする者にとっては、不人気DLCだった。善プレイ、テコ入れ要素と陰口を叩かれたそうである。
これを投入したのは、永山の一存ではない。海軍からのヘイトが限界に達したからだ。
そうだろう。新規建艦ゼロ、更新なし、規模据えき処か、縮小を、世界に、前政権はぶち上げて退陣したのだ。
そして、次の政権もそれを継承。海軍大臣は、抵抗一つせずに丸呑みしたのであるから、第二次第三次226が続発しそうな程、海軍はフラストレーションを貯めていた。
既に大部分の上層部は、不死者にとって変わられ、騒ぎ立てるのは中層、下層の人間に限られていたが、これは問題である。
永山としては、二次大戦が、最高潮に達した段階で、溜めに溜めた、死者の本流で、全てを押し流そうと言う計画ではあったが、やいのやいの言う連中が五月蠅いのと、不死者と化した海軍上層にさえ、永山の方針を不安視する者も出始めた。
そこで今回の投入である。
永山が、直接現地に出向いているのは、そのせいだ。
突貫工事も良い所が現状なのだ。朽ちた艦船を蘇らせる処から、支配して戦場に持ってくるまで、やってるのは全部、永山本人である。
だから体調最悪。死霊術師が、過労で死にそうなんて、洒落にもならないが、本人ふらふらである。
「誰か、、止めて、、、もう限界、、、」
息も絶え絶えで、永山は喘いでいるが、心配する者は、、、いない。
皆、陸を行く黒鉄の城塞が、ソ連軍を蹂躙するのに夢中だ。
「良い、、、」
「良いですねぇ」
「陸軍、要らないんじゃないかなこれ?」
「いっそ、連合艦隊全部、陸海共用にしますか?陸軍は吸収で」
上から船幽霊として参戦のOB組、東郷、秋山、まだ生きていたが魔界転生した佐藤。最後はお目付け役の黒島である。
「おい、、誰か僕の心配を、、、、」
「良いなそれ!」
「流石、我が後輩!天才だな!」
「でしょ!おーい永山君、そこで死にかけてないで、私の発案を陛下にだなぁ、、、」
好き勝手言ってる。
「不死者は不人情だ、、、」
永山は、ゲロに塗れて一人さめざめと泣いた。
同日、初瀬、八島、ペトロパブロフスク、セヴァストポリを含む、巨獣の群れがウラジオストクに突入、ソ連側を大混乱に叩き込むことになる。
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