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四話
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「スティーヴ様ぁ、あのまま帰しちゃってもよかったのですかぁ?」
「うむ。婚約破棄の直後に、どんな形でも王城の中で血を見るわけにはいかないだろうシャイナ?」
「たしかにおっしゃる通りですぅ。でもぉ、ヴァンハイアー伯爵家がぁ、他の家や国に手を回すとやっかいなんじゃないですかぁ?」
「格下ごときに。なにができる」
王子とシャイナは、ヴァンハイアー家を亡きものにするという意見では一致している。
だが、危機感の点で相違があった。
王子は自分の権力を使えば伯爵家など簡単にとり潰せると考えていたのだが、カテリーナと視線を交わしたシャイナには感覚的な嫌悪感が残っていた。
あの女、なにかがおかしい。今すぐにやらないと危険だ。
「ですけどスティーヴ様ぁ、これから殿下と一緒に育み生まれてくる子供のためにもぉ、伯爵家を潰すのはあたりまえですけど。カテリーナは消しておいたほうがいいのではぁ?」
「なるほどな。シャイナの言葉に一理ある。そうするか」
「ですが、こちらが疑われるのもあれなのでぇ。どうでしょう。目には目を。悪には悪を。悪い人たちにやらせてみてはぁ?」
「いいだろう。やってみろ」
シャイナはすぐに使いをノービス公爵のもとへ向かわせた。
ノービス公爵はすべて承知の上で、シャイナを王子のもとへ送り出している。
暗殺者をいくつも囲っているが、今回はその前にすべきことがある。
清らかな乙女であるカトリーナを暴漢に襲わせ汚し、輪姦して殺害する予定なのだ。
こうすれば間違ってもカトリーナが聖女だったという噂すら立たないだろう。
シャイナからの報告を受け取ったノービス公爵はただちに計画の実行を指示する。
いくつもの隠蔽工作を通し、公爵家からの指示ということはわからなくされ。
ごろつき以下の人間が複数人集められた。
ヴァンハイアー伯爵家は、位にしては破格の広さがある領土を受け取っており。
住まう民の忠誠心は恐ろしいほど高い。それもすべてカトリーナや両親の人柄、優秀な家臣に慕われる性格が影響していた。
しかし、他の貴族領土はというと重税に苦しみ、圧政と差別が横行していた。
とりわけ王子スティーヴとノービス公爵の悪評は際立っている。
気分で税率を二倍、三倍と変更し。支払いが出来なくなるとその家の妻や娘を担保として連行した。
首輪で繋がれた女たちは王子や公爵の慰みものになり。乱暴に犯され飽きたら家臣に回された。
さらに気が狂って使い物にならなくなった女たちは、奴隷商へと売りさばきその金で贅沢の限りを尽くした。
あまりに地獄。脱走を試みる住民は容赦なく斬り捨てられた。
腐った泥の中でしか生きられないような者たちが集っていた。
王子と公爵に媚を売り、女や金を自由にしたいと思う者がいくらでもいる。彼らなら例え暗殺に失敗して捕まったとしても、何の痛手でもない。
出世欲にかられた悪しき者たちのギラギラした目が光っていた。
「うむ。婚約破棄の直後に、どんな形でも王城の中で血を見るわけにはいかないだろうシャイナ?」
「たしかにおっしゃる通りですぅ。でもぉ、ヴァンハイアー伯爵家がぁ、他の家や国に手を回すとやっかいなんじゃないですかぁ?」
「格下ごときに。なにができる」
王子とシャイナは、ヴァンハイアー家を亡きものにするという意見では一致している。
だが、危機感の点で相違があった。
王子は自分の権力を使えば伯爵家など簡単にとり潰せると考えていたのだが、カテリーナと視線を交わしたシャイナには感覚的な嫌悪感が残っていた。
あの女、なにかがおかしい。今すぐにやらないと危険だ。
「ですけどスティーヴ様ぁ、これから殿下と一緒に育み生まれてくる子供のためにもぉ、伯爵家を潰すのはあたりまえですけど。カテリーナは消しておいたほうがいいのではぁ?」
「なるほどな。シャイナの言葉に一理ある。そうするか」
「ですが、こちらが疑われるのもあれなのでぇ。どうでしょう。目には目を。悪には悪を。悪い人たちにやらせてみてはぁ?」
「いいだろう。やってみろ」
シャイナはすぐに使いをノービス公爵のもとへ向かわせた。
ノービス公爵はすべて承知の上で、シャイナを王子のもとへ送り出している。
暗殺者をいくつも囲っているが、今回はその前にすべきことがある。
清らかな乙女であるカトリーナを暴漢に襲わせ汚し、輪姦して殺害する予定なのだ。
こうすれば間違ってもカトリーナが聖女だったという噂すら立たないだろう。
シャイナからの報告を受け取ったノービス公爵はただちに計画の実行を指示する。
いくつもの隠蔽工作を通し、公爵家からの指示ということはわからなくされ。
ごろつき以下の人間が複数人集められた。
ヴァンハイアー伯爵家は、位にしては破格の広さがある領土を受け取っており。
住まう民の忠誠心は恐ろしいほど高い。それもすべてカトリーナや両親の人柄、優秀な家臣に慕われる性格が影響していた。
しかし、他の貴族領土はというと重税に苦しみ、圧政と差別が横行していた。
とりわけ王子スティーヴとノービス公爵の悪評は際立っている。
気分で税率を二倍、三倍と変更し。支払いが出来なくなるとその家の妻や娘を担保として連行した。
首輪で繋がれた女たちは王子や公爵の慰みものになり。乱暴に犯され飽きたら家臣に回された。
さらに気が狂って使い物にならなくなった女たちは、奴隷商へと売りさばきその金で贅沢の限りを尽くした。
あまりに地獄。脱走を試みる住民は容赦なく斬り捨てられた。
腐った泥の中でしか生きられないような者たちが集っていた。
王子と公爵に媚を売り、女や金を自由にしたいと思う者がいくらでもいる。彼らなら例え暗殺に失敗して捕まったとしても、何の痛手でもない。
出世欲にかられた悪しき者たちのギラギラした目が光っていた。
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