レターレ・カンターレ
芸術大学の大学院で音楽を学ぶ三喜雄(みきお)は、声楽専攻科の杉本(すぎもと)教授から突如呼び出されて、他の音楽大学の辻井(つじい)教授の研究を手伝うよう命じられる。辻井は音楽教育と音楽療法の研究をしており、三喜雄が依頼されたのは、老人ホームのクリスマスコンサートで歌うことだった。三喜雄は新曲への興味から、演奏時間10分の「恋するくじら」を、2ヶ月半で仕上げることを了承する。
初練習の日、三喜雄は共演者である篠原(しのはら)が、高校時代に懇意にしていた後輩・高崎(たかさき)に似ていることに驚き、軽く動揺する。篠原は美声の持ち主だがその歌にはやる気が見えず、頭に来た三喜雄は、歌が終わるなり篠原と衝突してしまう。しかしその翌週、篠原は謝罪してきて、三喜雄もあらためて一緒に曲を仕上げていく気になる。
練習を進めるうち、三喜雄はこの歌が、高崎に絡む高校時代の悔やまれる思い出を呼び起こすことに戸惑う。一方篠原も、この歌を歌いたくないと最初に言ったのは、曲が自分に合わないこと以外の理由があるらしくーー。
『あいみるのときはなかろう』『彼はオタサーの姫』のバリトン歌手・片山三喜雄の、大学院1年目のアナザーストーリー。BL要素はありません。両作品未読でも、お楽しみいただけます。両作品のキャラがチラ登場するので、読了してくださっているかたにはちょっと楽しいかもしれません。
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