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10 暴露
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「ああっ! やめろもうっ! あ……っ」
そのままゆるゆると手を動かしながら、晶は言う。
「ハルさんは感じやすいし好きなんだろうな、こんなことをされるのが」
否定したいのに、いやらしい喘ぎ声しか出ない。とにかく晶の手が気持ちいい。身体の中で生まれた熱は、血管を伝い全身を巡って、最後に股間に集まる。
晴也は細切れに小さな声を上げながら、膝の上に絡みついていた服をきれいに引っ剥がされて、ああもう終わったなどと頭の片隅で考えていた。もうこのエロダンサーの思いのままだ。
「さっきのご褒美にいけるだけいかせてあげよっか」
「あ、あ……そんなのいらない、1回でいいから……っ」
それでも晴也は、右手で自分を攻め立てながら、左手で優しく背中を抱いてくれる晶の慈しみが心地良くて、彼を求めるように抱きついてしまう。
小さな摩擦音の中に湿った音が混じり、快感が高まる。全身が熱い。
「もう駄目……出るっ、でる……ああっ」
「触るだけでこんなに感じてくれて嬉しいなあ、ハルさん大好き」
言われて晴也はうっすら目を開く。晶の涼やかな目が見おろしていた。観察されていたと知り、奇妙な昂りに襲われた。
「ひゃっ、あっ……!」
生じた小さな震えが一気に身体中に拡散して、晴也はのけ反りながらがくがくと震えた。ちびった、とまた思った。
「よっ、汚したっ、あっ」
気持ち良かったけど、タオル要るやつだったんじゃ? 半ば喘ぎながら焦っている晴也を見て、晶は吹き出した。
「大丈夫、ちゃんと教えてくれたから……俺の可愛いハルさん……」
後始末をされて抱き直されると、少し落ち着いてきた。年末と同じように、自分を抱く晶の硬くなったものを脚に感じる。
慣れたネコの男性なら、ぱっと受け入れるところなのだろう。そんな怖ろしいことは、今の晴也には無理だ。でも晶にはやはり申し訳ない。
「ショウさん……」
晶はどうしたの、と言いながら、晴也の頬をそっと撫でてそこに口づける。晴也は優しく取り扱われて、外国の恋愛映画のヒロインにでもなったかと錯覚しそうだった。
「……抜かないのか、手伝うよ」
「ハルさんは優しいな、そんなこと言ってくれるノンケ童貞いないよ」
「もう俺ノンケじゃない……ってことだよな」
晴也の言葉に晶は笑顔になる。
「自分のセクシャリティが変わるのは不安?」
「不安というか……変な感じ」
「そうだろうね、俺はひとしきり落ち込んだ」
言って晶は晴也から腕を解き、サイドテーブルの上のペットボトルに手を伸ばす。その仕草や伸ばされた腕が、有名な絵を思い出させた。えっと、「天地創造」だ、ミケランジェロ?
キャップを開けた晶は、晴也の肩を掬い上げるようにして上半身を起こし、ペットボトルを手渡してくれた。喉が渇いていた晴也は、ごくごくと中身を飲む。一糸纏わぬ姿で男の横で喉を潤すなんて、自分を知る人が見たらどう思うだろうとちらっと思った。
でも湿らせた唇を晶のそれで包まれると、やはり嬉しいのだ。少なくとも俺はバイセクシャルなんだな。というか、たまたまショウさんが男だというだけなんだけど……。
晶は同じペットボトルから自分もひと口水を飲むと、何の躊躇いもなくズボンと下着を脱ぎ始めた。何となく目を逸らしながら、しごいてやる気満々の俺は淫乱なのかなと晴也は考える。
「はいっ、ではハルさんに手伝って貰って俺もいかせていただきますっ」
晶はやけに楽しげに言い、晴也を自分の身体の上に乗せるようにして引き倒した。下半身も彼と素肌で触れることになって、晴也の心臓がばくばくし始める。太腿の内側に、熱い棒状のものが押しつけられ、その硬さに勝手に照れた。やや腰を引くと、晶は笑う。
「やだなハルさん、自分も同じもの持ってるのに嫌がらないで」
「……他人のものには普通接さないだろ」
晶はまあそうか、などと言いながら、晴也の手を取り、自分の下腹部にゆっくり導く。熱くてすべすべしたそれに指先が届くと、晶が肩を竦めた。
人のってやっぱ自分のと手触りが違うし、形もちょっと違うみたいだ。晴也はこわごわ指を伸ばした。
「そんな気を遣わなくてもいいよ、俺のちんこは雑な扱いに慣れてるから」
「デリカシー無さ過ぎだ、人のちんこを傷つけるような真似できるか」
晴也が指先でさわさわ撫でると、晶はあっ、と言って腰を反らせた。
「俺本体もそれくらい優しく扱って……」
実はやや緊張している晴也は、答えずに慎重に晶のものを掴む。彼は嬉しげで気持ち良さげな、溜め息混じりの声を洩らす。
「ああ……幸せ」
ひっくり返って腹を撫でられる犬のようで、笑える。本当に気持ちいいのだろう、それは先っぽから濡れ出して、晴也の手の中で硬度を増した気がした。
晴也だって自慰の経験はあるし、今してもらったところだから、どうすれば晶を気持ち良くさせてやれるかは、わからない訳ではない。優しく撫でるようだった手に、少し力を入れてしごいてやると、彼は悩ましげな声を上げた。
「あっ、……凄くいい、痺れる」
「あの……どの辺をどうしたらいいとかあるなら……十分にお応えできないかもしれませんが……」
晴也が手をせっせと動かしながら言うと、晶がとろんとした目になったのが、薄闇の中でもわかった。
「ハルさん、今で十分だよ、とても気持ちいい」
黒い瞳が濡れているように見えた。何やら髪まで乱した彼の色気にぞくぞくする。イケメンは、いやらしいことをする時も目の保養だ。
そのままゆるゆると手を動かしながら、晶は言う。
「ハルさんは感じやすいし好きなんだろうな、こんなことをされるのが」
否定したいのに、いやらしい喘ぎ声しか出ない。とにかく晶の手が気持ちいい。身体の中で生まれた熱は、血管を伝い全身を巡って、最後に股間に集まる。
晴也は細切れに小さな声を上げながら、膝の上に絡みついていた服をきれいに引っ剥がされて、ああもう終わったなどと頭の片隅で考えていた。もうこのエロダンサーの思いのままだ。
「さっきのご褒美にいけるだけいかせてあげよっか」
「あ、あ……そんなのいらない、1回でいいから……っ」
それでも晴也は、右手で自分を攻め立てながら、左手で優しく背中を抱いてくれる晶の慈しみが心地良くて、彼を求めるように抱きついてしまう。
小さな摩擦音の中に湿った音が混じり、快感が高まる。全身が熱い。
「もう駄目……出るっ、でる……ああっ」
「触るだけでこんなに感じてくれて嬉しいなあ、ハルさん大好き」
言われて晴也はうっすら目を開く。晶の涼やかな目が見おろしていた。観察されていたと知り、奇妙な昂りに襲われた。
「ひゃっ、あっ……!」
生じた小さな震えが一気に身体中に拡散して、晴也はのけ反りながらがくがくと震えた。ちびった、とまた思った。
「よっ、汚したっ、あっ」
気持ち良かったけど、タオル要るやつだったんじゃ? 半ば喘ぎながら焦っている晴也を見て、晶は吹き出した。
「大丈夫、ちゃんと教えてくれたから……俺の可愛いハルさん……」
後始末をされて抱き直されると、少し落ち着いてきた。年末と同じように、自分を抱く晶の硬くなったものを脚に感じる。
慣れたネコの男性なら、ぱっと受け入れるところなのだろう。そんな怖ろしいことは、今の晴也には無理だ。でも晶にはやはり申し訳ない。
「ショウさん……」
晶はどうしたの、と言いながら、晴也の頬をそっと撫でてそこに口づける。晴也は優しく取り扱われて、外国の恋愛映画のヒロインにでもなったかと錯覚しそうだった。
「……抜かないのか、手伝うよ」
「ハルさんは優しいな、そんなこと言ってくれるノンケ童貞いないよ」
「もう俺ノンケじゃない……ってことだよな」
晴也の言葉に晶は笑顔になる。
「自分のセクシャリティが変わるのは不安?」
「不安というか……変な感じ」
「そうだろうね、俺はひとしきり落ち込んだ」
言って晶は晴也から腕を解き、サイドテーブルの上のペットボトルに手を伸ばす。その仕草や伸ばされた腕が、有名な絵を思い出させた。えっと、「天地創造」だ、ミケランジェロ?
キャップを開けた晶は、晴也の肩を掬い上げるようにして上半身を起こし、ペットボトルを手渡してくれた。喉が渇いていた晴也は、ごくごくと中身を飲む。一糸纏わぬ姿で男の横で喉を潤すなんて、自分を知る人が見たらどう思うだろうとちらっと思った。
でも湿らせた唇を晶のそれで包まれると、やはり嬉しいのだ。少なくとも俺はバイセクシャルなんだな。というか、たまたまショウさんが男だというだけなんだけど……。
晶は同じペットボトルから自分もひと口水を飲むと、何の躊躇いもなくズボンと下着を脱ぎ始めた。何となく目を逸らしながら、しごいてやる気満々の俺は淫乱なのかなと晴也は考える。
「はいっ、ではハルさんに手伝って貰って俺もいかせていただきますっ」
晶はやけに楽しげに言い、晴也を自分の身体の上に乗せるようにして引き倒した。下半身も彼と素肌で触れることになって、晴也の心臓がばくばくし始める。太腿の内側に、熱い棒状のものが押しつけられ、その硬さに勝手に照れた。やや腰を引くと、晶は笑う。
「やだなハルさん、自分も同じもの持ってるのに嫌がらないで」
「……他人のものには普通接さないだろ」
晶はまあそうか、などと言いながら、晴也の手を取り、自分の下腹部にゆっくり導く。熱くてすべすべしたそれに指先が届くと、晶が肩を竦めた。
人のってやっぱ自分のと手触りが違うし、形もちょっと違うみたいだ。晴也はこわごわ指を伸ばした。
「そんな気を遣わなくてもいいよ、俺のちんこは雑な扱いに慣れてるから」
「デリカシー無さ過ぎだ、人のちんこを傷つけるような真似できるか」
晴也が指先でさわさわ撫でると、晶はあっ、と言って腰を反らせた。
「俺本体もそれくらい優しく扱って……」
実はやや緊張している晴也は、答えずに慎重に晶のものを掴む。彼は嬉しげで気持ち良さげな、溜め息混じりの声を洩らす。
「ああ……幸せ」
ひっくり返って腹を撫でられる犬のようで、笑える。本当に気持ちいいのだろう、それは先っぽから濡れ出して、晴也の手の中で硬度を増した気がした。
晴也だって自慰の経験はあるし、今してもらったところだから、どうすれば晶を気持ち良くさせてやれるかは、わからない訳ではない。優しく撫でるようだった手に、少し力を入れてしごいてやると、彼は悩ましげな声を上げた。
「あっ、……凄くいい、痺れる」
「あの……どの辺をどうしたらいいとかあるなら……十分にお応えできないかもしれませんが……」
晴也が手をせっせと動かしながら言うと、晶がとろんとした目になったのが、薄闇の中でもわかった。
「ハルさん、今で十分だよ、とても気持ちいい」
黒い瞳が濡れているように見えた。何やら髪まで乱した彼の色気にぞくぞくする。イケメンは、いやらしいことをする時も目の保養だ。
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