妹の代わりに嫁いだ私に、「妹が帰ったから夫を返せ」と父が言いました。いいえ、今度は譲りません
妹の代わりに伯爵家へ嫁いだオデットは、八か月の結婚生活で、夫アドリアンとの時間を大切にするようになっていた。
本の結末を話し、帰宅した夫を迎え、同じ食卓を囲む。
最初は家のために結んだ婚姻だった。それでも、今はこの暮らしを手放したくない。
ところが、縁談を嫌がって王都の男と家を出た妹リリアが、別れて戻ってくる。
父は離縁の書面を差し出し、オデットへ命じた。
「リリアが帰ってきた。オデット、夫を妹に返しなさい」
「指輪も外してね。今度は私の番なんだから」
嫁ぐときは、家のため。
妹が戻れば、役目は終わり。
父と妹にとって、オデットが築いた八か月の夫婦生活さえ、妹へ渡すための穴埋めでしかなかった。
けれど、今度ばかりは譲れない。
「アドリアン様とは、別れません」
オデットが未署名の書面を押し返すと、帰宅した夫も彼女の手を取り、はっきり告げる。
「私の妻はオデットです。妻を取り替えるつもりはありません」
それでも父と妹は諦めない。
夫の隣の席も、二人で出かける約束も奪おうとし、ついには人前でリリアを「もともとの花嫁」として紹介し始める。
いつも妹へ譲ってきた姉は、もう脇へ下がらない。
観劇の約束を守り、オデットが本の感想を話すのを楽しみに待つアドリアン。
家同士の約束だから優しいのだと思っていた夫もまた、オデットと暮らし続けたいと願っていた。
妹の代わりに嫁いだ姉が、家族の身勝手な要求を退け、夫と互いを選び直す夫婦恋愛。
全5話・ハッピーエンド。
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