からくり幻燈 お江戸損料屋異聞
舞台は文政年間、八百八町が最も華やいだ時代の江戸。
両国広小路に近い長屋で、貸し物屋(損料屋)『九十九屋(つくもや)』を営む慎蔵(しんぞう)は、江戸のあらゆる階層に生活道具を貸し出し、回収する日々を送っている。
しかし、彼には人知れぬ「裏の顔」があった。回収した古道具の中から「人の執念」が染み付いた品を選び出し、特製の凸凹レンズを組み合わせた「からくり幻燈機」で、その持ち主の歪んだ本性を障子に投影して眺める――。そんな覗き見の悦楽に耽る、倒錯した観察者だったのである。
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