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雨冷え【10月番外編】
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こんにちは、しらたきです。
あのあと、ご主人さまと一緒に二度寝をしてしまいました。ぎゅーっと抱きしめられて、毛布に包まれると抗えないのです。致し方ないのです。やむなしです。
睡魔に負けて、ぼくとご主人さまはすぅすぅ眠っていました。ふわふわお空を飛んでいる夢を見ていると、いきなり毛布がひっぺがされて起きてしまいました。
そうでした! ぼくはご主人さまを起こす勤めがあったのでした!
「おみ! 朝だぞ、起きろー!」
「ぴゃああああ! さむいー!」
「暖炉つけてるから! 起きろ!」
「うみゃあああ!」
あああああ。
やはりりょうたさんが来てしまいました。ご主人さまは基本的に自分で起きられるのですが、寝坊するとりょうたさんが起こしに来てくれます。
最初は優しく起こしてくれるのですが、あんまりにもご主人さまが寝ぼけていたら毛布をひっぺがすのです! 毛布とぼくを抱きかかえたままコロコロしているご主人さまを、りょうたさんが追いかけています。
ぐるぐる、ずっと回るので、なんだか目が回ってしまいそうです。
「つかまえた! ほら、半纏持ってきたから、な?」
「ううー……はんてん……あったかい……」
「そうだろ? 織田さんの特製だ」
ようやく鬼ごっこも終わり、りょうたさんは深い青色の半纏をご主人さまに着せてあげました。数日前にやってきたおださん(なんだかとてもいいかおりのする方です)が、ご主人さまのために作ってくれたものだそうです。
ぼくの手を片方繋いだまま、半纏の袖を通されていきます。右手が終わったら、次は左手。まだ眠たいのか、りょうたさんにされるがままです。
「今日は何をするんだ?」
「んんー……山に、柿がなってたから、とってくる」
「渋柿に気をつけろよ」
「うぃ」
たしかに今日はとても良い天気です。お外で遊ぶには絶好の秋晴れでしょう。ぼくも一緒に行けるでしょうか。ご主人さまの背中におんぶされるのはとても好きです。
あったかい半纏を着て、ようやく目が覚めたご主人さまは「んにゃぁ」と大きな欠伸をしました。尖った八重歯がちらりと見えます。
それから、ぼくを懐に入れて、ぽんと頭を撫でてくれました。むふん。特等席です。
「カンガルーみたいだな」
「かんがるは、おなかだよ」
「おみはよく知ってるな」
「ふふーん!」
褒められてうれしそうにご主人さまが笑います。その声を聞いていると、なんだかぼくも嬉しくなってきました。
今朝のご飯はなんでしょうね、ご主人さま。
りょうたさんには聞こえなくても、ぼくにはしっかりとお腹の音が聞こえましたよ!
あのあと、ご主人さまと一緒に二度寝をしてしまいました。ぎゅーっと抱きしめられて、毛布に包まれると抗えないのです。致し方ないのです。やむなしです。
睡魔に負けて、ぼくとご主人さまはすぅすぅ眠っていました。ふわふわお空を飛んでいる夢を見ていると、いきなり毛布がひっぺがされて起きてしまいました。
そうでした! ぼくはご主人さまを起こす勤めがあったのでした!
「おみ! 朝だぞ、起きろー!」
「ぴゃああああ! さむいー!」
「暖炉つけてるから! 起きろ!」
「うみゃあああ!」
あああああ。
やはりりょうたさんが来てしまいました。ご主人さまは基本的に自分で起きられるのですが、寝坊するとりょうたさんが起こしに来てくれます。
最初は優しく起こしてくれるのですが、あんまりにもご主人さまが寝ぼけていたら毛布をひっぺがすのです! 毛布とぼくを抱きかかえたままコロコロしているご主人さまを、りょうたさんが追いかけています。
ぐるぐる、ずっと回るので、なんだか目が回ってしまいそうです。
「つかまえた! ほら、半纏持ってきたから、な?」
「ううー……はんてん……あったかい……」
「そうだろ? 織田さんの特製だ」
ようやく鬼ごっこも終わり、りょうたさんは深い青色の半纏をご主人さまに着せてあげました。数日前にやってきたおださん(なんだかとてもいいかおりのする方です)が、ご主人さまのために作ってくれたものだそうです。
ぼくの手を片方繋いだまま、半纏の袖を通されていきます。右手が終わったら、次は左手。まだ眠たいのか、りょうたさんにされるがままです。
「今日は何をするんだ?」
「んんー……山に、柿がなってたから、とってくる」
「渋柿に気をつけろよ」
「うぃ」
たしかに今日はとても良い天気です。お外で遊ぶには絶好の秋晴れでしょう。ぼくも一緒に行けるでしょうか。ご主人さまの背中におんぶされるのはとても好きです。
あったかい半纏を着て、ようやく目が覚めたご主人さまは「んにゃぁ」と大きな欠伸をしました。尖った八重歯がちらりと見えます。
それから、ぼくを懐に入れて、ぽんと頭を撫でてくれました。むふん。特等席です。
「カンガルーみたいだな」
「かんがるは、おなかだよ」
「おみはよく知ってるな」
「ふふーん!」
褒められてうれしそうにご主人さまが笑います。その声を聞いていると、なんだかぼくも嬉しくなってきました。
今朝のご飯はなんでしょうね、ご主人さま。
りょうたさんには聞こえなくても、ぼくにはしっかりとお腹の音が聞こえましたよ!
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