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めぐる雨【2月長編】
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しおりを挟むその日、ぼくはいつものようにご主人からぎゅーっとしてもらいながらお布団に入りました。りょうたさんがまた絵本を読んでくれています。ぱんださんと小さなどらごんさんが旅に出ていました。
ぼくとご主人も今日は旅に出ましたね。本当に大冒険でした。ご主人は疲れたのか、お布団に入るとすぐに寝ていました。ぼくも眠たくなってきました。ふあああ……。
「おみ、おやすみ」
「んみぃ……」
おやすみなさい、りょうたさん。ご主人も、おやすみなさい。いい夢が見られますように!
ふと気がつくと、ぼくは空を飛んでいました。目の前にはわたあめみたいな雲がぷかぷか浮いています。うわあ、ぼく、大きくなっています!
これならご主人を背中に乗せてどこまでも飛んでいけます!
「わー! しらたき、はやいねー!」
「ご主人!」
背中からご主人のはしゃいだ声が聞こえてきます。小さなおててでぼくの背中を握っていました。大丈夫ですよ、絶対に落としたりしませんからね。
ご主人と一緒にお空を飛べるなんて、まるで夢のようです!
「りょーた、しらたきすごいねー」
「そうだな。みんなを乗せて飛べるなんて」
あ、りょうたさん! そうでしょう、ぼく、おっきくなりました!
「さかぐちさん、おださん、のりごこちはどうですか?」
「おう、気持ちいいぜ」
「素敵な景色よ、しらたきちゃん」
わあ、みんなとおしゃべりもできます! うれしいなぁ、うれしいなぁ。ぼく、ずっとこうしたかったんです。みんなと一緒におしゃべりして、お空を飛びたかったんです。
真っ青なお空をふわふわ飛んでいきます。気持ちがいいですね。
「しらたき、またおでかけしようね」
「しましょう! ぼく、ご主人のお供いたします」
「わー、ありがとー!」
ふわふわ、ぷかぷか、気持ちのいいお空のおさんぽはいつまでも続いていました。
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