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ペンダントが盗まれた
しおりを挟む「あれ?」
夕食を終え、自室に戻って来たところで机の上に置いておいたある物が無いことに気付きました。
「確かここに置いたはずですが」
何かの拍子に机から落ちてしまった可能性を考え、周囲を探しますがそれらしき物は見つかりません。
「ここに置いてあったペンダントを知らないかしら?」
側に控えていたメイドに問います。しかし、芳しい答えを得ることは出来ませんでした。
「貴方はずっとここに居たのよね?」
普段からこのメイドは私の部屋に常駐している者です。まあ、私が部屋にいる間は、部屋の外に居ることが多いので、メイドというよりは私が居ない間に部屋を監視する警備員に近い存在ですね。
「申し訳ありません。当主様からの指示と言われ、数刻ほどこの場を離れていました」
「そうですか」
私付きのメイドの1人ではありますが、本来の主人は私のお父さまです。お父様からの指示となれば私の指示よりも優先すべきでしょう。
「ですが、あの」
「なにかしら」
「当主様からの指示にしては少々容易な内容でしたので、確認を取って貰った方が良いかもしれません」
「なるほど」
となれば、無くなった理由は1つでしょうね。どう考えてもこの場に誰も居なくなった時にペンダントが無くなったと見るのが妥当でしょう。そして、その指示を出したのはお父さまではない可能性がありそうです。
「この部屋に誰が入ったかわかるかしら?」
「申し訳ありません。この場を離れていた時のことは……」
「そうよね」
もしかしたらという考えもありましたがわかる訳がないですよね。
ですが、私のペンダントだけを持って行ったという事からして、ある程度は持って行った者を絞り込めそうですね。
それに私が夕食に行っている間、且つ、メイドに指示を出せる者となればおそらくあの子でしょうけれど。
あのペンダントは私が聖女であることを示す大事な物なので、出来るだけ早めに見つけなければなりません。ただまあ、所詮は所有者を聖女と示すだけのペンダントなので、重大な悪用が出来るような物ではありませんから、悪用される心配はしなくても良いでしょう。そこについては少し気が楽ではありますね。
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