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60.終わり
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ドロテアの行動は決して許されるものではない。
だからと言って、彼女に心を揺さぶられるものが居なければ、起きなかった騒動でもある。 そう言う意味では未だ野山を駆ける人獣達の元で管理してもらう事は、罪を償う者、ギルモアと言う国に残り文明を築く者、双方にとって良い結果となっただろう。
「シア……散歩に行こうか?」
夜中、ヒッソリと訪れるラースに、私より先に目を覚ましたドーラは冷ややかな視線をラースに向ける。
「姫様を寝不足にするつもりですか」
「最近、忙しくて時間が取れない……挙句!! 獣だからと仕事をサボり、シアについてまわる馬鹿がいるからなぁああ!! 少しぐらい……アピールさせてくれよぉ」
情けなく、窓枠に伏し泣いているふりをするラースに、ドーラは溜息をついた。
「どうします? 姫様」
「歌を歌ってくれるなら、いいよ」
「なんでも歌うとも!!」
そう言うラースには、人の姿なのに尻尾が見えたような気がするシアとドーラだった。
ラースは人のままでシアを姫抱っこする。
「人のまま?」
「まだ、手に力が入らない奴が何を言う。 治ったら幾らでも背に乗せてやる」
ラースが言えばシアは嬉しそうに笑い。 ラースは何が嬉しいのやらと苦笑しつつ……眉間を寄せた。
「モフモフしたいからって、余りランディに近づくなよ」
「どうして? 良い子だと思うけど?」
見た目もそうだが、性格も……いや、性格を知るほどの接触はなかったけれど、以前のランディの面影は欠片も無い。 ラースと同じ年なのだと考えれば、随分と幼いと誰もが思っていたが……それで良いと誰もが受け入れていた。
「俺が、嫉妬するだろう」
凄い速さで移動するラースとシア。 そこに平行するような気配があり、ラースは溜息をつきつつ、仕方ないと肩を落としたのだが……その気配は、そっと走る速度を落とし……2人を見送った。
ランディにも配慮する思いがあるらしいと、ラースは心から安堵した。 もし……アイツがシアを欲しいと、夫の座が欲しいと、そう言ったならどうするだろう……そう悩んでしまっていたから。
「馬鹿ねぇ~。 ラース好きよ」
シアを腕に凄い速さで森を駆けるラースの歩みが遅くなる。
「ぇ、あ。 それは……どういう、意味だ?」
「好きは好き?」
「いや……なら……そのドーラは?」
「好き」
ガックリとラースは肩を落とした。
「だよな。 うん、もっとずっと好きになってくれるよう、頑張るよ」
「ドーラはドーラ、アズはアズ、ラースはラース……異性として特別なのは、私の初恋で……ツガイになりたい相手は、ラースだけだよ」
「シア!!」
悦び声を高めるラースの声と共に、耳がぴょこんと出て来た。 シアは小さく笑いながら耳の裏をワシワシと撫でた。
「好き、好きだよ」
「あぁ、俺もシアが好きだ。 初めて会った時から」
そして二人は幼い……大人未満の口づけを交わす。
前略、神様。
私、新しい家族と幸せに過ごしています!!
終わり
だからと言って、彼女に心を揺さぶられるものが居なければ、起きなかった騒動でもある。 そう言う意味では未だ野山を駆ける人獣達の元で管理してもらう事は、罪を償う者、ギルモアと言う国に残り文明を築く者、双方にとって良い結果となっただろう。
「シア……散歩に行こうか?」
夜中、ヒッソリと訪れるラースに、私より先に目を覚ましたドーラは冷ややかな視線をラースに向ける。
「姫様を寝不足にするつもりですか」
「最近、忙しくて時間が取れない……挙句!! 獣だからと仕事をサボり、シアについてまわる馬鹿がいるからなぁああ!! 少しぐらい……アピールさせてくれよぉ」
情けなく、窓枠に伏し泣いているふりをするラースに、ドーラは溜息をついた。
「どうします? 姫様」
「歌を歌ってくれるなら、いいよ」
「なんでも歌うとも!!」
そう言うラースには、人の姿なのに尻尾が見えたような気がするシアとドーラだった。
ラースは人のままでシアを姫抱っこする。
「人のまま?」
「まだ、手に力が入らない奴が何を言う。 治ったら幾らでも背に乗せてやる」
ラースが言えばシアは嬉しそうに笑い。 ラースは何が嬉しいのやらと苦笑しつつ……眉間を寄せた。
「モフモフしたいからって、余りランディに近づくなよ」
「どうして? 良い子だと思うけど?」
見た目もそうだが、性格も……いや、性格を知るほどの接触はなかったけれど、以前のランディの面影は欠片も無い。 ラースと同じ年なのだと考えれば、随分と幼いと誰もが思っていたが……それで良いと誰もが受け入れていた。
「俺が、嫉妬するだろう」
凄い速さで移動するラースとシア。 そこに平行するような気配があり、ラースは溜息をつきつつ、仕方ないと肩を落としたのだが……その気配は、そっと走る速度を落とし……2人を見送った。
ランディにも配慮する思いがあるらしいと、ラースは心から安堵した。 もし……アイツがシアを欲しいと、夫の座が欲しいと、そう言ったならどうするだろう……そう悩んでしまっていたから。
「馬鹿ねぇ~。 ラース好きよ」
シアを腕に凄い速さで森を駆けるラースの歩みが遅くなる。
「ぇ、あ。 それは……どういう、意味だ?」
「好きは好き?」
「いや……なら……そのドーラは?」
「好き」
ガックリとラースは肩を落とした。
「だよな。 うん、もっとずっと好きになってくれるよう、頑張るよ」
「ドーラはドーラ、アズはアズ、ラースはラース……異性として特別なのは、私の初恋で……ツガイになりたい相手は、ラースだけだよ」
「シア!!」
悦び声を高めるラースの声と共に、耳がぴょこんと出て来た。 シアは小さく笑いながら耳の裏をワシワシと撫でた。
「好き、好きだよ」
「あぁ、俺もシアが好きだ。 初めて会った時から」
そして二人は幼い……大人未満の口づけを交わす。
前略、神様。
私、新しい家族と幸せに過ごしています!!
終わり
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いらっしゃいませ~!
ピュアピュアな私の中の萌えを散りばめております。
共感頂けて嬉しい限りです。
モフモフはロマンだ(*´Д`)
熱気で零れ落ちる体力を補うため、ガッツリ食べ、水分補給もお忘れなく~。
土曜日の残り時間も、良い時間でありますように!!
ありがとうございます!!
みんなソレゾレの幸せを迎えていきます。
皆の幸せを喜んで頂けて嬉しいです。
ありがとうございました~!!(*^▽^*)
ありがとうございま~す!!
ランディは人生のやり直し中なので、大きな子供状態です。
家族が仲良しなので、きっと次こそは上手く育っていくと思います。
お祝い、ありがとうございました!!