『死者から12億円が振り込まれた日、家族の顔が変わった』

『死者から12億円が振り込まれた日、家族の顔が変わった』

死者から、振り込まれた十二億円
それは音もなく、
ただ通知の光だけで
世界の重さを変えた

鳴らないはずの名前が
画面の中で生きていて
指先が、触れる前に震えていた

あの日、葬式で確かに見送ったはずの人が
なぜ今、こちらを見ているのか
答えはなく
ただ、数字だけが確かだった

十二億円

それは重さを持たないのに
人の顔を変えるには十分すぎる重さだった

「本当なの?」
最初に言ったのは誰だったか

「ちょっと確認させて」
次に手を伸ばしたのは誰だったか

笑い方が変わる
目の奥の色が変わる
声の温度が変わる

ああ
こんなに分かりやすく
人は変わるものだったのか

あの人たちは
私を心配していたのではなく
未来の金額を見ていただけだった

優しさは
いつから計算になったのだろう

沈黙の中で
指の関節が白くなるほど
通帳を握りしめる

これは救いなのか
それとも試されているのか

「条件があります」

その一文が
すべての意味を反転させる

金はある
でも、まだ手に入らない

過去と向き合えと
そう言われている気がした

奪われた家
消えた居場所
あの日の、閉じたドア

誰が、何をしたのか

そして
誰が、本当に私を見ていたのか

十二億円は
ただの金ではなかった

それは
関係の裏側を照らす光だった

そして私は知る

死んだ人は
もう何もくれない

ただ
残されたものが
すべてを暴くだけだと

24h.ポイント 1,222pt
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