『「器用貧乏はいらない」と追放された私は、状態保存で辺境伯様に溺愛される〜今さら戻ってきてと言われても、私の時間は幸せで上書き済みです〜』

『「器用貧乏はいらない」と追放された私は、状態保存で辺境伯様に溺愛される

〜今さら戻ってきてと言われても、私の時間は幸せで上書き済みです〜』

上書きされた時間

「器用貧乏はいらない」と
切り捨てられたあの日
私は、ひとつの時間を閉じた

戻せるものは多くても
戻らないものもあると知ったから
涙だけは、セーブしなかった

壊れた剣も
枯れた花も
私は何度でも“最良”に戻せる

けれど――
この胸の痛みだけは
どこにも保存できないまま

それでもいいと、思えたのは
あなたがいたから

触れた手の温もりも
不器用な優しさも
巻き戻せない今だからこそ、愛おしい

「戻ってこい」と呼ぶ声は
遠い過去の残響でしかない
もう、私の時間には触れられない

私は知ったのだ
幸せとは、取り戻すものではなく
選び続けるものだと

だから私は今日も
この瞬間を上書きする

あなたと笑う、この時間で
未来ごと、塗り替えていく


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