『祖母の新築を奪う義母へ――もう遅い、先に住んでます』

『祖母の新築を奪う義母へ――もう遅い、先に住んでます』

鍵は回らない
冬の玄関先で
声だけが先に入り込もうとする

「ここは私の家よ」

風が、それを押し返す

まだ新しい木の匂い
磨かれた床に残る光
そこにあるのは
奪う声ではなく
静かに積み上げた時間

「どちら様ですか」

その一言で
境界が引かれる

血でもなく
名義でもなく
選ばれた居場所

古い手が
若い手を握る

「私は、この子たちと暮らします」

その瞬間
家は完成する

外では
荷物と焦りが崩れていく

内では
湯気の立つ茶碗が並ぶ

奪えなかったものは
壁でも屋根でもなく

——帰る場所だった

24h.ポイント 1,491pt
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