不在届:302号室 郵便物集積記録

「その郵便物、開けてはいけない。――たとえ宛名が、他人でも」

※本作は、証拠資料や音声ログの形式を借りて描かれる「モキュメンタリー・ホラー(フィクション)」です。

築30年のアパート「コーポ・ササユリ」302号室。
そこに遺されたのは、前の住人「佐藤幸男」を巡る、大量の不気味な郵便物の記録だった。

大学生の賢人と大樹は、フリマアプリで手に入れたこの「自作資料」の完成度に心躍らせていた。しかし、読み終えた彼らの元に、届くはずのない郵便物が紛れ込む。

「松村様、吉田様。再配達のご依頼、ありがとうございます」

一瞬だけ見えた自分たちの名前。だが、瞬きをすればそれは、見知らぬ誰かの「復縁を願う手紙」へと姿を変えていた。

資料の中の出来事だったはずの怪異は、今、読み手である二人の現実へと「転送」された。
これは、あるアパートの記録を「読んでしまった」者たちが、その当事者へと引きずり込まれていく連鎖の物語である。
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