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第六章 友人からお使いを頼まれました
もう一発かましてくれました
しおりを挟む「フ、フリードさんが、村長さんなの!?」
完全に素に戻っちゃったよ。
「はい。一応、そうですね」
驚く私たちとは正反対に、あっけらかんとフリードさんは認めた。
「一応って? じゃあ、魔王様から預かった村長さんへの手紙って」
フリードさんが村長さんならいらないでしょ。
「ああ、これのことですか? 見ます?」
フリードさんは鞄から魔王様直筆の手紙を取り出して見せてくれた。
「なっ、何これ!? 特別手当と特別休暇の許諾書じゃない!!」
紹介状の紹の字もないわ。まるっきりの嘘じゃない。
「光魔草の群生地に案内する代わりにいただきました。正当な報酬ですよ」
確かに、フリードさんからみたら、そうなるんでしょうけどね。ある意味、紹介状とはいえなくはないわね。受け取った以上、ちゃんと群生地まで案内してくれるんだから。でも、なんか、納得できないわ。
「マリエールさんは、腑に落ちない顔をしてますね。他の連中は……睨み付けても、休暇と特別手当は付きませんよ」
どうやら、ライさんとジョルジュさんは違う点で引っ掛かったみたい。
「ズルいぞ」
ジョルジュさんが文句を垂れる。すると、ライさんも同じように文句を垂れた。
「そうだ!! フリードだけズルい」
ライさんがすると、お菓子を強請る子供のようね。
「文句があるなら、直接魔王様に言ったらどうです?」
サラッと二人を躱し、フリードさんは奥に進む。ここで離れたら、自分たちの生存確率がグンと減る。それを見越して、今見せたのね。
私もたいがい腹黒だけど、フリードさんには負けるわ。まぁそうでなきゃ、魔王様と渡り合ってないか。光魔草の件、まだ裏があるんじゃない?
「マリエールさんが、考えているような裏はありませんよ。ただ……純粋に休暇と特別手当が貰えただけです」
嘘っ!?
考えてること読まれてる!! 魔王様や神獣様のような読心術のスキルでもあるの!?
「この者に、そのようなスキルはない。まぁしいて言えば、年の功ってやつだな」
焦る私に、神獣様がさらに爆弾発言をかましてくれた。
「年の功って……?」
恐る恐る訊いてみた。
「この男、魔王並みに生きてるぞ」
「「「えーーーー!!」」」
またキレイにハモったわ。
魔王様並みって、いったい何歳なのよ!?
「五百を超えた時点で数えるの止めました」
しれっと答えるフリードさん。
五百まで数えてたの!? それにも、驚きだわ。魔王様も五百歳以上ってことよね。あの容姿で。それにも驚きだわ。
エルフが長命種だって聞いてはいたけど……いやはや、フリードさんって、謎よね。
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