槍一本携えて ~本多忠勝奮闘記~
慶長十四年、五月。澄み渡る江戸の空を浮かない顔で眺める一人の老男性。
彼の名は本多平八郎忠勝。徳川家康の下で数々の武功を挙げ、相棒『蜻蛉切』と共に生涯五十七度の戦に参陣しながら掠り傷一つ負わなかった歴戦の猛者である。
姉川では合戦の口火を切る単騎突貫を行い、三方ヶ原の前哨戦となった一言坂の戦いでは戦国最強と謳われた武田勢を相手に孤軍奮闘し、本能寺の変で錯乱した主人を一喝し、小牧では五万の豊臣勢に五百の手勢で立ち向かった。その武勇は武田信玄や織田信長、豊臣秀吉から高く評価されることとなり、『天下無双』と呼ばれるまでになった。
その忠勝が、どうして浮かない顔をしているのか? 本多忠勝の歩んできた半生を振り返ってみようではないか―――
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