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第81話 騒動2

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「いや、そんな事よりアイルが酔っぱらっちゃって暴走してます!!」


俺たちはギルドで用を済まし、『ゆっくりしていっ亭』に戻ると、宿の主人、ステフおっさんと酒を酌み交わしてるアイルとソフィちゃんの母親のコフィさんがいた。
その酒気に当てられてしまったアイルが酔っ払い、凶暴化してしまった!これでは俺の手に負えないので二人に助けを求める。

「何をおたおたしてるんだい?パンツ君?将来、アイル達の面倒見る事になる男がそんな情けない恰好するんじゃないよ!?」
「は?え?面倒を見るってなんの事ですか!?」
「何!?おめぇ!!アイルとソフィの面倒見るのか!!(怒)」

俺の胸倉を掴み今にも殴りかからんとするステフおっさん。
何なんだこの人たち!

「そ、そんな事よりアイルが暴れてます!!」
「「ん?」」


2人が俺の後ろにいる筈のアイルを見ると……


「Zzzzzzzzz……zzzzzz………」


やっぱり寝てる!!早ッ!!!


「何だ、寝てるじゃねぇか。それよりパンツ兄ちゃんも飲め!!」
「そうだよ!パンツ君も飲みな!!」


俺はステフおっさんとコフィさんに捕まり半ば無理矢理、酒瓶を口にツッコまれる。


「ガハハハハ!飲め飲めぇ!!」
「ちょ……ちょっと……まだ昼間、ゴボッ……今日はゲイブルさん……ゴボッ所に武器を取りに行かな……ゴブッ……」


………
……………………
そして俺の記憶は飛んだ。

俺はベッドの上で目が覚めた。
誰か運んでくれたのか?ステフさんかな?
そう思いながら上体を起こそうとするが動かない。
重い。何かで体をがっちりホールドされている様な……。

俺は左に顔を向けると、目の前にアイルの顔があった。
というよりアイルが俺に抱き着いている。
前も同じ様なシチュエーションあったなぁ……。
以前はおぱーいを見るだけだったが、今は完全に密着していてそのパイ乙を存分に堪能出来ている。

こ、これは……タマランチ会長だぁああああああ!!!!
よし!どさくさに紛れて俺も抱き着こう!!うん!そうしよう!!
俺がそう思い身体をアイルの方へ傾けようとすると後ろから腕が伸びてきて抱き着かれる。


「………え?」
「むにゃむにゃ……コフィたぁん……ワシ、もう疲れたぁあん。」
「ブホォッ!!」


俺は後ろを振り返ると、そこにはガガンさんが俺の背中に抱き着いていた。
ガガンさんは寝言を言いながら俺の背中に頬ずりしてくる。
そう言えば、ガガンさん、俺達が宿に入って来た時点で酔いつぶれていた。
酔いつぶれたメンバーは恐らく空いてるこの部屋に纏めてぶち込まれたみたいだな。


「んんぅん……何ぃ?うるさいなぁ……。」
「アッ…アッア……オハヨウゴザイマス。アイルサン。」


俺の噴出した音でアイルが俺に抱き着いたまま起きてしまった。


「ぎゃあぁぁあああっぁぁぁぁ!!!」
「ですよねぇぇええぇぇえぇえ!!!」


ボスッ!!
ドンガラガガラガラドーン

アイルは俺の腹に両足で蹴りを叩き込むと、俺と後ろで抱き着いていたガガンさん共々ふっ飛ばした。


「ふぇッ……なんじゃ!?何じゃあぁああ!?」
「え!?何でお父さんもいるの!?」
「あれ?ワシ、何をしておったのかのぉ……。はて?」


…………
……………………

時間を置き落ち着いたアイルとガガンさんに説明する。
酔い潰れてしまった俺達を、恐らくステフさんがこの部屋にぶち込んだのでないかと。


「ありゃ!そうじゃった!ステフの奴と飲んでおったんじゃ。途中から記憶がないのぉ……。」
「そ、そうだ!お父さん、何で酒盛りなんかしてたのよ!」
「何でって、久しぶりに仲間と会ったら飲むのは当たり前じゃ!!」
「って、飲み過ぎだよ!!」
「久しぶりじゃったから……ついの……。あれ?母さんは?」


そう言えばコフィさんの姿はここにはない。
窓から外を伺うと、もう陽が暮れており夕刻が迫っている。
まさかあの二人……まだ飲んでるのか?

バタン!!

そう思っていると部屋の扉が勢いよく開く。
そこには仁王立ちのソフィちゃんが立っていた。


「お父さん達!いつまで寝てるの!!今日はゲボォオの所に私達の武器を取りに行くんでしょ!!」
「ソフィ……ちょっと待って……ゲボォ……」
「そう!ゲボォオの所に取りに行くんだよ!!早く起きて!!」


ソフィちゃんはそう言いながらガガンさんの手を無理矢理引っ張り1階へ降りて行く。


「ソフィ……ちょっ待っ………ゲボォ……が……。」
「ゲボォオがどうしたの?ゲボォオきっと待ってるよ!」
「ゲボォが出そうじゃ……ウップ……」


ゲボォが出るって……ゲボォ(吐く)って事ですよね!!
俺はガガンさんを咄嗟にお姫様抱っこしてトイレにダッシュで連れて行く事で事なきを得た。
危うくソフィちゃんのカワイイお顔がゲロ塗れになる所だった……危ないあぶない……。

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