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【続編】

75:ふ、服を脱がせる……!

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召使いの女性に言われたアズレークと私は「分かりました」と返事をして、馬を走らせる。一瞬後ろ振り返ると、召使いの女性は私が投げ捨てた剣を回収していた。

並走するアズレークを見ると、やはり肩の傷が深く、完全に治癒できていないので辛そうだ。もしかすると見落としている大きな傷がまだ他にもあるのかもしれない。

話しかけたいが、この状態で騎乗しているのだ。無理をさせたくない。今は一刻も早く屋敷に戻り、アズレークを休ませてもらおう。

ひたすら無言で馬を走らせると、屋敷が見えてきた。
入口には召使いの女性二人が立っている。
エントランスで馬を降りると、部屋へと案内された。

「ロレンソ先生……」

部屋の中にはロレンソがいた。
やはり意識を失っていただけだったようだ。
白騎士を思わせる姿で、顔色にも問題なく、怪我をしている様子もない。

私とアズレークのことを順番に見ると、静かに告げる。

「パトリシア様は入浴して着替えを。その間にアズレークの治癒をしよう」
「私も手伝います」
「魔法で治癒するので、パトリシア様の助けは不要です。それに服を脱がせますよ」

ふ、服を脱がせる……!
ロレンソの言葉にたじろいだ瞬間。
アズレークが優しく私を抱き寄せた。

「パトリシア。君の体は冷え切っている。入浴して体を温めた方がいい」
「アズレーク……」

私を抱き寄せるアズレークの腕にはいつもの力強さはない。本当に疲弊しきっていると分かる。ここで私がロレンソと押し問答している時間があるのなら。アズレークの治癒を急いだ方がいいはずだ。

「分かりました。ロレンソ先生、アズレークを頼みます」
「ええ。わたしの怪我を治癒してくれたのはアズレークですから。今度はわたしがアズレークを治癒する番です」

な……。何をしているの、この二人は?
戦闘をして傷つけ合い、今度はお互いの怪我を治癒しあう!?
それなら最初から戦闘なんてしなければいいのに……。
そう思ってしまうが。
二人は勝敗をつける必要があったのだ。
そしてその勝負はついた。
魔力は底をつきかけ、満身創痍だが。
アズレークが勝利を収めた。

「お嬢様、では入浴を」

召使いの女性に促され、バスルームへ向かう。
バスルームの扉が閉まる直前。
アズレークが着ていたシャツを脱ぐ姿が一瞬見え、心臓がドクンと跳ね上がる。

見えていたのは後ろ姿でしかもズボンはまだはいていた。
それでも裸のその背中は……。
傷だらけではあったが。
綺麗に筋肉がつき、とても美しかった。
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