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JOKER① side千尋
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いつものように、彼の用意してくれた朝食をふたりでとって。
そしていつものように彼を見送り、私は掃除だとか洗濯だとかといった、彼が苦手とする分野の家事を済ませた。
そのタイミングでテーブルの上に置いていた、スマートフォンが震えた。
画面を確認すると、着信があった。
友人の、華月からだ。
「おはよ、千尋。
明日の事、アンタまさか忘れてないわよね?」
「おはよう、華月。
えっと......なんか約束、してたっけ?」
確認形で聞かれたけれど、何の話かまるで見当もつかない。
だから私は、つい聞き返してしまった。
その瞬間彼女がスマホの向こう側で、大きなため息を当て付けがましく吐くのを感じた。
「やっぱり、忘れてたのね......。
その様子だと千尋、この間貸してあげたCDも、まだ聞いてないでしょ?」
呆れ口調で、問われた。
あぁ......そう言えば、と思う。
面倒だから嘘を吐き、聞いたと答えようかとも思ったけれど、感想を聞かれたらすぐにばれてしまうと思ったから素直に謝罪の言葉を口にした。
「......ごめん」
「明日はこの間話した通り、JOKERのライブだから!
チケット無駄にしても勿体ないし、絶対に来てよ。
約束を忘れてたとしてもアンタは出不精だから、予定なんてどうせ何も入ってない無いでしょ?」
失礼な、言われようである。
......確かに、何も無いけれど。
だけど奏くんも明日からは仕事が忙しくなると言っていたから、ちょうど良いかもしれない。
彼と暮らすようになり、もう奏くんと一緒の生活に完全に慣れてしまった私はきっと、ひとりで過ごす夜を寂しく思ってしまうに違いないから。
そしていつものように彼を見送り、私は掃除だとか洗濯だとかといった、彼が苦手とする分野の家事を済ませた。
そのタイミングでテーブルの上に置いていた、スマートフォンが震えた。
画面を確認すると、着信があった。
友人の、華月からだ。
「おはよ、千尋。
明日の事、アンタまさか忘れてないわよね?」
「おはよう、華月。
えっと......なんか約束、してたっけ?」
確認形で聞かれたけれど、何の話かまるで見当もつかない。
だから私は、つい聞き返してしまった。
その瞬間彼女がスマホの向こう側で、大きなため息を当て付けがましく吐くのを感じた。
「やっぱり、忘れてたのね......。
その様子だと千尋、この間貸してあげたCDも、まだ聞いてないでしょ?」
呆れ口調で、問われた。
あぁ......そう言えば、と思う。
面倒だから嘘を吐き、聞いたと答えようかとも思ったけれど、感想を聞かれたらすぐにばれてしまうと思ったから素直に謝罪の言葉を口にした。
「......ごめん」
「明日はこの間話した通り、JOKERのライブだから!
チケット無駄にしても勿体ないし、絶対に来てよ。
約束を忘れてたとしてもアンタは出不精だから、予定なんてどうせ何も入ってない無いでしょ?」
失礼な、言われようである。
......確かに、何も無いけれど。
だけど奏くんも明日からは仕事が忙しくなると言っていたから、ちょうど良いかもしれない。
彼と暮らすようになり、もう奏くんと一緒の生活に完全に慣れてしまった私はきっと、ひとりで過ごす夜を寂しく思ってしまうに違いないから。
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