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春風由実
「べサニー、私と離婚して貰えないだろうか?」 妻べサニーが寝室に入って来ると、絨毯の上に座り妻を待っていた夫テオドールは、毎夜同じように切り出した。 「君のためにならないから」 「無価値な私が夫では申し訳ないから」 「君には私なんかよりずっと素晴らしい相手がいるはずだ」 「私のような無価値な者を押し付けられて、君が可哀想だから」 毎夜微妙に変化する理由は聞き流して、べサニーは今夜も甘く囁く。 「旦那さま。夜は長いのですから。隣に座ってお話しいたしましょう?」 「わたくし、ご一緒してくださらないと泣いてしまいますわ」 夫婦でワインを飲み、夜も更けていけば──。 「べサニー、信じられるか?臣下の子どもに『馬鹿か?』と言った翌朝には、弟が王太子に決まっていた」 「べサニー、あの国の王家と貴族家は、一体何がしたかったのだろうか?」 「べサニー、あの国はどうやって存続出来ていたのだろう?」 そして翌朝に記憶が残らなくなる頃、夫は言う。 「べサニー。あの国が私に与えた幸運がひとつだけある。それは何だと思う?」 これはとある王国の貴族の娘べサニーが、ある日突然結婚することになった不憫過ぎる夫を愛でて、愛でて、愛でて、可愛がり、慈しむ日々の記録だ。 今夜も夫婦の語らいは、寝室で同じように始まった。 「べサニー。私と離婚して貰えないだろうか──」 ※問題の相手は勝手に自滅して消えてしまったため、ざまぁの場面はありませんが、少しずつ話題に出て来ます。 ※実は作者の息抜き作品となりますが、皆様も気軽に楽しんで頂けましたら嬉しいです♡ ※2026.6.30無事完結しました♡ありがとうございます♡
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