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聖女の旅立ち
5.朝食
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二人が用意してくれた朝ごはんは、
厚焼き玉子のサンドイッチと、ハムとレタスのサンドイッチ、
刻んだトマトが入ったコンソメスープだった。
厚焼き玉子は食べてみたらだし巻きで、だし巻き卵?と思ったが、
意外にもしっとりとしたパンと合っていた。
ハムとレタスのほうはシンプルだけど、普通のマヨネーズソースでは無く、
甘みと酸味を感じられて美味しい。
「おいしい。厚焼き玉子のサンドイッチは初めて~。」
「このハムのほうのソース美味しい。何が入っているの?」
「普通の卵サンドも好きだけど、たまにはこういうのもいいよね。
ソースはマヨネーズに蜂蜜と粒マスタードが混ぜてある。
どっちも気に入ってもらったようで良かった。」
早朝から出発ということで、何も食べずに神官宮を出ていた。
興奮していたけれどお腹は空いていたようで、あっという間になくなっていく。
その間も窓の外の景色が変わり続け、王都の街並みが見えていた。
ヨーロッパの街のようにも見えて、でも車が無いというのはやはり気になる。
「こっちの世界には車ってないの?
街並みには馬車のほうが似合うけど、
これだけの技術があったら車くらい作れるんじゃないの?」
「あぁ、クルマね。作ろうと思えば作れるんじゃないかな。
でも、作ったとしても走らせられない。」
「走らせられない?どうして?」
「正確に言えば、走らせたら平民が死ぬね。」
「「え!」」
走らせたら平民が死ぬ?カインさんの言葉に驚いてしまう。
「この馬車はあえてうるさく走るようにしてある。
平民たちはその音で馬車が来ると気が付ける。
馬車が来たら平民たちはすみやかに避けることになっているんだ。
馬車で移動するのは貴族だけだ。
平民は他領に勝手に移動することは許されていない。
貴族も王都と自領を行き来する以外は申請しなければいけない。」
「馬車もほとんど走っていないってこと?」
「そういうこと。
そんな状況で静かで速く走るクルマなんて走らせたら、
平民は気が付けない。避けることも無くぶつかって死ぬだろう。
それでも平民が悪いことになってしまう。」
「避けなかったほうが悪いの?」
「貴族の馬車を妨げてはいけないという法律がある。
クルマにしても同じことになるだろう。
クルマに乗るのは貴族だけだろうからね。
だから、歴代の聖女たちはクルマを作ってとは言わなかった。」
「あーそれは言えないわ。」
「うん、言えないね。
そもそも、こんな快適な馬車があるなら車いらないと思うし。」
「確かにね~。」
平民は馬車を避けなければいけないというルールのせいか、
窓の外から見える範囲には歩く人がいなかった。
馬車の音がうるさいと言ってたので、
馬車が来る前に違う場所に行ってしまっているのだろう。
街で暮らす人を見てみたかった気もするけど、そんな理由では仕方がない。
「第一村人はいつになるだろうね。」
「こらこら。」
同じことを思っていたらしい美里に思わず突っ込んでしまう。
さすがにその言葉は知らなかったみたいで、
キリルとカインさんが不思議そうな顔をしていた。
「さて、お腹いっぱいになったら、ミサトは少し寝たほうがいい。」
「え?寝てもいいの?」
「まだ到着まで三日もあるし、さすがに眠いでしょ。
ちょっと仮眠しておかないと、夜までもたずに寝てしまうことになるよ。」
「あぁ、うん。」
一時間しか寝ていなかった美里とカインさんは仮眠してくるらしい。
軽く手を振ると、二人はベッドルームへと消えていった。
その間キリルと私はどうするのかと思っていたら、キリルに地図を見せられる。
「暇だろうから、これから行く場所の話をしていようか。
ミサトは後でカイン兄さんから聞くだろうし。」
「あぁ、聞きたい。どんな場所に行くの?」
厚焼き玉子のサンドイッチと、ハムとレタスのサンドイッチ、
刻んだトマトが入ったコンソメスープだった。
厚焼き玉子は食べてみたらだし巻きで、だし巻き卵?と思ったが、
意外にもしっとりとしたパンと合っていた。
ハムとレタスのほうはシンプルだけど、普通のマヨネーズソースでは無く、
甘みと酸味を感じられて美味しい。
「おいしい。厚焼き玉子のサンドイッチは初めて~。」
「このハムのほうのソース美味しい。何が入っているの?」
「普通の卵サンドも好きだけど、たまにはこういうのもいいよね。
ソースはマヨネーズに蜂蜜と粒マスタードが混ぜてある。
どっちも気に入ってもらったようで良かった。」
早朝から出発ということで、何も食べずに神官宮を出ていた。
興奮していたけれどお腹は空いていたようで、あっという間になくなっていく。
その間も窓の外の景色が変わり続け、王都の街並みが見えていた。
ヨーロッパの街のようにも見えて、でも車が無いというのはやはり気になる。
「こっちの世界には車ってないの?
街並みには馬車のほうが似合うけど、
これだけの技術があったら車くらい作れるんじゃないの?」
「あぁ、クルマね。作ろうと思えば作れるんじゃないかな。
でも、作ったとしても走らせられない。」
「走らせられない?どうして?」
「正確に言えば、走らせたら平民が死ぬね。」
「「え!」」
走らせたら平民が死ぬ?カインさんの言葉に驚いてしまう。
「この馬車はあえてうるさく走るようにしてある。
平民たちはその音で馬車が来ると気が付ける。
馬車が来たら平民たちはすみやかに避けることになっているんだ。
馬車で移動するのは貴族だけだ。
平民は他領に勝手に移動することは許されていない。
貴族も王都と自領を行き来する以外は申請しなければいけない。」
「馬車もほとんど走っていないってこと?」
「そういうこと。
そんな状況で静かで速く走るクルマなんて走らせたら、
平民は気が付けない。避けることも無くぶつかって死ぬだろう。
それでも平民が悪いことになってしまう。」
「避けなかったほうが悪いの?」
「貴族の馬車を妨げてはいけないという法律がある。
クルマにしても同じことになるだろう。
クルマに乗るのは貴族だけだろうからね。
だから、歴代の聖女たちはクルマを作ってとは言わなかった。」
「あーそれは言えないわ。」
「うん、言えないね。
そもそも、こんな快適な馬車があるなら車いらないと思うし。」
「確かにね~。」
平民は馬車を避けなければいけないというルールのせいか、
窓の外から見える範囲には歩く人がいなかった。
馬車の音がうるさいと言ってたので、
馬車が来る前に違う場所に行ってしまっているのだろう。
街で暮らす人を見てみたかった気もするけど、そんな理由では仕方がない。
「第一村人はいつになるだろうね。」
「こらこら。」
同じことを思っていたらしい美里に思わず突っ込んでしまう。
さすがにその言葉は知らなかったみたいで、
キリルとカインさんが不思議そうな顔をしていた。
「さて、お腹いっぱいになったら、ミサトは少し寝たほうがいい。」
「え?寝てもいいの?」
「まだ到着まで三日もあるし、さすがに眠いでしょ。
ちょっと仮眠しておかないと、夜までもたずに寝てしまうことになるよ。」
「あぁ、うん。」
一時間しか寝ていなかった美里とカインさんは仮眠してくるらしい。
軽く手を振ると、二人はベッドルームへと消えていった。
その間キリルと私はどうするのかと思っていたら、キリルに地図を見せられる。
「暇だろうから、これから行く場所の話をしていようか。
ミサトは後でカイン兄さんから聞くだろうし。」
「あぁ、聞きたい。どんな場所に行くの?」
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