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絡み合う運命
14.隠れた瘴気
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「隊長!確認に行った隊員の馬がやられました!」
「なんだと…隊員は無事か?馬はどうした?」
「隊員が一名が落馬しましたが、軽傷です。
その他の隊員はすぐに馬から降りたので無事です。
馬はその場で処分しました…徒歩で戻ったため報告が遅れ、申し訳ありません。」
「いや、無事ならいい。
…ということは、馬で発生場所に行くのは無理だな。
準備ができ次第、徒歩で向かうことにする。
他の隊員たちにも徒歩で向かう準備をするように伝えてくれ。」
「はっ。」
馬がやられた?…え?もうすでに瘴気が人や動物を襲うレベルになっているってこと?
前に見た人の身体を食い破って魔獣が生まれてくるところを思い出した。
同じように美里も思い出したようで、真っ青な顔になっている。
やっぱりこの領地はおかしい。
瘴気が発生したばかりだって言ってたのに、こんなにも濃い瘴気の気配がするし、
もうすでに瘴気がアメーバ状に変化している。
発生場所に行くまでに馬が襲われたなんて初めてだ。
…覚悟はしていたつもりだったけれど、足が震える。
「…ユウリ、まずいと思ったらすぐに言うんだ。
俺が守るけれど、無理はさせたくない…あまり我慢しないで。」
「キリル…うん。…頑張ってダメなら言うね?」
行きたくはないけど、行かなければ瘴気は発生し続ける。
私たちが浄化しない限り、この状況は好転しない。
無理に笑顔を作ろうとしたらきゅっと抱きしめられ、少しだけ怖気づいた心が癒される。
怖いことには変わらないけれど、なんとか行ける気がした。
キリルが守ってくれると言うなら、それを信じればいい。
ふと見たら、美里もカインさんに抱きしめられ頭を撫でられていた。
泣きそうな顔の美里も何か言われうなずいている。
…そうだよね。聖女の心の支えになるのが隊長のお仕事だった。
わかってるけど、今だけはこの腕の暖かさに甘えていてもいいかな。
聖女でいる間だけでも、キリルを私だけのものだと思っていたい。
振り向いてキリルを抱きしめ返したら、もう一度きゅっと強く抱きしめてくれた。
…もう大丈夫。私がここにいるのは聖女だから。
聖女として求められていることはできるはずだから。
ゆっくりと手を離した時には、もう迷いは消えていた。
「よし、行こうか。」
「うん。」
神剣を構えた隊員たちに囲まれるように守られながら、徒歩で湖へと向かう。
集団で辺りを警戒しながらだから、ゆっくりとしか進めない。
大小の湖がいくつか点在している、その一番外側の湖へと向かっていた。
瘴気の気配が濃くなるにつれて、あたりは薄暗くなっていく。
今までならもうすでに瘴気の発生場所についてもおかしくないほど気配が濃い。
もう何度か魔獣があらわれて隊員たちに切り捨てられていた。
イタチのような魔獣が数匹ずつあらわれ、一瞬で切られて消えていく。
これほど魔獣がいるなんて信じられない。
犠牲になったのはこの辺に生息していた動物なのか…。
人間かもしれないと一瞬よぎったが、深く考えないように進む。
たどり着いた湖は真っ黒で何も見えなかった。
だけど、周辺には黒い霧もなく、アメーバ状の瘴気も見つからない。
気配がこれだけ濃いのに、瘴気が見当たらないとは思わなかった。
無いわけはない…気配はあるし、魔獣も発生している。
発生場所を探すために隊員たちが警戒しながら湖へと近づいていく。
「瘴気が見えない…ユウリ、わかるか?」
「なんだと…隊員は無事か?馬はどうした?」
「隊員が一名が落馬しましたが、軽傷です。
その他の隊員はすぐに馬から降りたので無事です。
馬はその場で処分しました…徒歩で戻ったため報告が遅れ、申し訳ありません。」
「いや、無事ならいい。
…ということは、馬で発生場所に行くのは無理だな。
準備ができ次第、徒歩で向かうことにする。
他の隊員たちにも徒歩で向かう準備をするように伝えてくれ。」
「はっ。」
馬がやられた?…え?もうすでに瘴気が人や動物を襲うレベルになっているってこと?
前に見た人の身体を食い破って魔獣が生まれてくるところを思い出した。
同じように美里も思い出したようで、真っ青な顔になっている。
やっぱりこの領地はおかしい。
瘴気が発生したばかりだって言ってたのに、こんなにも濃い瘴気の気配がするし、
もうすでに瘴気がアメーバ状に変化している。
発生場所に行くまでに馬が襲われたなんて初めてだ。
…覚悟はしていたつもりだったけれど、足が震える。
「…ユウリ、まずいと思ったらすぐに言うんだ。
俺が守るけれど、無理はさせたくない…あまり我慢しないで。」
「キリル…うん。…頑張ってダメなら言うね?」
行きたくはないけど、行かなければ瘴気は発生し続ける。
私たちが浄化しない限り、この状況は好転しない。
無理に笑顔を作ろうとしたらきゅっと抱きしめられ、少しだけ怖気づいた心が癒される。
怖いことには変わらないけれど、なんとか行ける気がした。
キリルが守ってくれると言うなら、それを信じればいい。
ふと見たら、美里もカインさんに抱きしめられ頭を撫でられていた。
泣きそうな顔の美里も何か言われうなずいている。
…そうだよね。聖女の心の支えになるのが隊長のお仕事だった。
わかってるけど、今だけはこの腕の暖かさに甘えていてもいいかな。
聖女でいる間だけでも、キリルを私だけのものだと思っていたい。
振り向いてキリルを抱きしめ返したら、もう一度きゅっと強く抱きしめてくれた。
…もう大丈夫。私がここにいるのは聖女だから。
聖女として求められていることはできるはずだから。
ゆっくりと手を離した時には、もう迷いは消えていた。
「よし、行こうか。」
「うん。」
神剣を構えた隊員たちに囲まれるように守られながら、徒歩で湖へと向かう。
集団で辺りを警戒しながらだから、ゆっくりとしか進めない。
大小の湖がいくつか点在している、その一番外側の湖へと向かっていた。
瘴気の気配が濃くなるにつれて、あたりは薄暗くなっていく。
今までならもうすでに瘴気の発生場所についてもおかしくないほど気配が濃い。
もう何度か魔獣があらわれて隊員たちに切り捨てられていた。
イタチのような魔獣が数匹ずつあらわれ、一瞬で切られて消えていく。
これほど魔獣がいるなんて信じられない。
犠牲になったのはこの辺に生息していた動物なのか…。
人間かもしれないと一瞬よぎったが、深く考えないように進む。
たどり着いた湖は真っ黒で何も見えなかった。
だけど、周辺には黒い霧もなく、アメーバ状の瘴気も見つからない。
気配がこれだけ濃いのに、瘴気が見当たらないとは思わなかった。
無いわけはない…気配はあるし、魔獣も発生している。
発生場所を探すために隊員たちが警戒しながら湖へと近づいていく。
「瘴気が見えない…ユウリ、わかるか?」
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