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14、王都へ出発!

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「チチ、カカ。
 着いたらすぐに連絡するから、それまで待っててね」

 辻馬車の窓からニョキッと顔をだして、チチとカカの手をギュッと握る。

「もしまた、お城の連中がポポの力を利用しようとしたらすぐにチチに知らせるんだべ」

「わかった。
 でも、今回は私の魔力の事はアッチにバレてないから大丈夫よ」

 1度目の人生で急に魔力が目覚めたのは、魔獣からチチを救いたい強い気持ちがきっかけだろう。

 幸いチチは助かった。

 けど、魔力の噂が王都にまで伝わり、私は王宮に連れていかれたのだ。

「そうかねー。だったらいいけど。
 ポポは考えが甘いからね」
と眉をよせるカカに明るい声をだす。

「だってさ。
 今回、チチは魔物山に入らなかったから、魔獣にも出会ってないでしょ。
 で、私も魔法を使う必要がなかった。
 だからね。
 王都の連中はペペス村のポポの存在なんか知りもしないのよ。
 わかったら、カカ。
 この子みたいに、ニカッと笑って送りだしてよ」

 そう言うと、身につけていたペンダントのヘッドを手にとり、カカの方に向ける。 

「ありゃあ。
 この子はいつ見ても楽しそうだね。
 ウフフフフ」

 よかった。

 カカが笑ってくれて。

 湿っぽいお別れって、好きじゃないからね。

「じゃあ、行ってきまーす」 
と大きく手を振ったとたん、馬車がガタンとゆれて、パカパカと馬の歩く音が聞こえてくる。

 いよいよ、王都へ向かって出発だ!

 窓から見えるのは山と畑の連続。

「1度目の人生を思いだすわー。
王宮の豪華な馬車の中で、推しと見た景色とまったく変わってないから。
 あー。なんだか 胸がキューンとするわ」

 目を閉じて、あの時のリオン王子のキラキラな笑顔を胸に描く。

 あのリオン王子様は本当は誰なんだろう。

「嬢ちゃん。
 さっき胸がキューンとするって言ってたけど、大丈夫かい?
 私も心臓が弱ってきて時々胸が痛むから、他人事とは思えなくってね」

 とっぷりと自分の世界に浸っていると、見知らぬお婆ちゃんが心配そうに声をかけてきた。

「あー。あー。
 私の胸の痛みはソッチじゃなくって」

「ソッチじゃなない?
 あー。あー。なるほどね。
 誰かにドキドキする方かい。
 若いって、いーね。
 人生は1度しかない。
 だから、嬢ちゃんも後悔しないようにがんばるんだよ」
とお婆ちゃんは大きな声をだすと、私の背中をバンと叩く。

「それがね。私。
 2度目の人生を生きているんですよー」
 とボソリと言ってから、目をパチパチさせて馬に魔法をかける。

 とたんに馬はブルルルと鼻息を荒くすると、別人(じゃなくて別馬か)のように駆け出す。 

 1分、1秒でも速く推し会いたいの!

 もっと、もっと速く走って!

 そう心で繰り返していると、突然馬が後足で地面を強く蹴る。

 と同時に馬車はフワリと宙に舞い上がり、滑るように空を走ってゆく。

 うわあああ。

 これじゃ、まるでサンタクロースのそりだよ。

 目を丸くして驚いているうちに、田舎の辻馬車は一瞬で王都の町へ到着した。

 私以外の乗客はずーと眠っていたから、誰もこの事には気がつかない。

 ちょっと、ちょっと。

 私の魔法ってすごくない?

 自分でもびっくりだよ。





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