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■明日の予定は決まったが

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■明日の予定は決まったが

 「んー……」

困った。つい先日、ソラに人間の街にはまだ行かないと言ったばかりではあるが、その言葉を無かったことにしなければならないかもしれない。
会いたい人がいるとか、そういうんじゃない。ああ、でもある意味そうなるのか? だが健全な理由だ。

どうするかなぁ? と思いながら、ソラの背を見つめる。ソラは何かしているようで、俺の視線n気づかない。俺はといえば、丁度良い温度のコップ風呂。ちゃぷん……とお湯に身体を浸かりながら、気になることが出来始めた。

「んんんっ……」

一度気になり出せば、解決するまで気になってしまう。視界をチラチラと遮ったり、首にチクリと刺さるようになってきたもの────髪だ。

(今度、市場に行った時にリタさんに切って貰えるか聞いてみるか?)

異世界転生しても髪は変わらず伸びるんだなと呑気に思いながら。それから少しだけ、柄にもなく髪をもっと伸ばしたら? なんてことも思ったりもした。

(俺がもし、もしだ。ワンピースなんかを着ても違和感がないくらいに髪を伸ばしたら、ソラはどんな反応をするんだろう?)

ほわわん……と一瞬想像してしまったが、一瞬だ。すぐに冷静になる俺。

「────はっ!?」

いや、何を考えてるんだ! 俺だぞ! 可愛くないだろう! と今度はブンブンと頭を左右に振っていれば、先ほど後ろを向いていたソラが此方を向いて笑った。

「ははっ。高見、何してるの? 何だか小動物みたい」

「……巨人のソラからしたら、皆小動物だろ」

見られてしまったと口を尖らせて珍しく俺が拗ねた言い方をすれば、すぐにソラが駆け寄ってきて「ごめんね?」と謝った。

「高見が可愛かったから、つい……」

「ははっ、ソラ。怒ってねぇよ。俺も意地悪な返しをしてごめんな?」

「大丈夫。僕も怒ってないよ」

それから数秒視線が合って、あははっ! と笑った。

「なぁソラ。明日市場に連れてってくれないか? リタさんに頼みたいことがあるんだ」

「リタに? 僕じゃダメなの?」

「んー……どうだろうな」

食事を食器に移してくれるから、ソラも器用な方だとは思うが何だか少しだけ不安だ。だが、頼みたいこと。ただ髪を切ってくれないかということを話さければ、変な誤解もされそうな雰囲気。

「いや、そのっ……リタさんに俺の髪を切って貰えないかなって。ソラ出来るか?」

「…………」

「…………ソラ?」

俺の言葉に、小さく「髪かぁ」と呟いて熟考。暫しの無言に名前を呼べば、納得したようにソラが言った。

「僕よりリタが良いと思う」

そういうわけで、俺たちの明日の予定が決まり。
俺ものぼせる前に風呂から出て、早めに眠った。

(リタさん、俺の髪切ってくれるかな?)

*******
前回の話にラッパ?の反応有難うございます(^^)
【宣伝】別に短期連載で「インキュバス君は魔王様に恋してる!」を投稿してみました。見て頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します
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