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■家に帰って来たものの③
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■家に帰って来たものの③
「うまくいかないものだね」
フッ……と笑ったソラの顔は、俺よりも悲しそうに見えた。
「危なくないようにって、うまくいかないって何だよ……! 俺だって、そんな顔ソラにさせたいわけじゃないけど……俺は、ソラの側から離れたくないんだよ……!」
ギュッ! と俺の顔の隣にあるソラの指に、話さないぞというように抱き着いた。泣いているだけじゃ駄目だ。ちゃんと気持ちを伝えなくちゃ。このままソラと離れ離れになるのだけは嫌だった。
「なぁ、俺が知らない間にソラを傷つけたなら謝るからさ。理由を教えてくれよ」
「……」
「理由も教えてくれないのか? 俺のことが嫌いになったのか?」
「そうじゃない。高見は何も悪くないよ。ただ僕が……僕が高見の側から離れた方が良いって思っただけなんだ」
「なんでそう思うんだよ?」
涙は気づけば止まったが、ズビッっとまだ鼻水は残っていた。機嫌が悪いような声で、ソラに問う俺。俺の圧に負けたのか、ソラがポツポツと話始めた。
「この間、高見を人間の街へ連れて行った時だって何となく感じ始めてたんだ。高見を見送って、一人で待っている間。やっぱり僕と高見じゃ、世界が違うんだって。同じ背丈で、同じ人間と楽しく暮らした方が、不自由なく暮らせるじゃないかってね。高見は優しいから、僕と一緒にいてくれてるんだろうけど、僕が高見を縛っているんじゃないか? って思い始めたら自分が嫌になってきて」
「……」
「僕が高見にしてあげられることなんて、遠くに連れて行ってあげるくらいだ。髪だって切ってあげられないし、こうやって気を付けないと触れられない。でも高見は、人間と一緒に暮らしたいわけじゃなさそうだし、それなら僕と同じ巨人のリタの方が、僕より出来ることが沢山あるし高見も楽しいだろうから……」
「そうだったのか……」
ソラも悩んでいたんだなと思った。
だが、それは全部俺にとっては不幸せなことばかりだ。俺はソラと一緒にいられるだけで良いんだ。何かをして貰いたいだなんて思っていない。ただ好きだっていう理由だけで、一緒にいるのは難しいんだろうか?
「でも俺は……。俺は、ソラが好きだから……一緒にいたいんだ……」
俺はソラと違って、気持ちを上手く伝えられないらしい。悔しい。だが、好きだからという理由以外、今の俺には考えられなかったんだ。
「うん、知ってるよ。高見は優しいから、僕のことも家族みたいに好きでいてくれるから」
「……がう」
「家族みたい」────そう言われた時、思わず口が動いてしまった。
*********
軽く詰んだので、別のシリーズ更新するかもしれません
良かったら別のシリーズも読んで頂けると嬉しいです!
「うまくいかないものだね」
フッ……と笑ったソラの顔は、俺よりも悲しそうに見えた。
「危なくないようにって、うまくいかないって何だよ……! 俺だって、そんな顔ソラにさせたいわけじゃないけど……俺は、ソラの側から離れたくないんだよ……!」
ギュッ! と俺の顔の隣にあるソラの指に、話さないぞというように抱き着いた。泣いているだけじゃ駄目だ。ちゃんと気持ちを伝えなくちゃ。このままソラと離れ離れになるのだけは嫌だった。
「なぁ、俺が知らない間にソラを傷つけたなら謝るからさ。理由を教えてくれよ」
「……」
「理由も教えてくれないのか? 俺のことが嫌いになったのか?」
「そうじゃない。高見は何も悪くないよ。ただ僕が……僕が高見の側から離れた方が良いって思っただけなんだ」
「なんでそう思うんだよ?」
涙は気づけば止まったが、ズビッっとまだ鼻水は残っていた。機嫌が悪いような声で、ソラに問う俺。俺の圧に負けたのか、ソラがポツポツと話始めた。
「この間、高見を人間の街へ連れて行った時だって何となく感じ始めてたんだ。高見を見送って、一人で待っている間。やっぱり僕と高見じゃ、世界が違うんだって。同じ背丈で、同じ人間と楽しく暮らした方が、不自由なく暮らせるじゃないかってね。高見は優しいから、僕と一緒にいてくれてるんだろうけど、僕が高見を縛っているんじゃないか? って思い始めたら自分が嫌になってきて」
「……」
「僕が高見にしてあげられることなんて、遠くに連れて行ってあげるくらいだ。髪だって切ってあげられないし、こうやって気を付けないと触れられない。でも高見は、人間と一緒に暮らしたいわけじゃなさそうだし、それなら僕と同じ巨人のリタの方が、僕より出来ることが沢山あるし高見も楽しいだろうから……」
「そうだったのか……」
ソラも悩んでいたんだなと思った。
だが、それは全部俺にとっては不幸せなことばかりだ。俺はソラと一緒にいられるだけで良いんだ。何かをして貰いたいだなんて思っていない。ただ好きだっていう理由だけで、一緒にいるのは難しいんだろうか?
「でも俺は……。俺は、ソラが好きだから……一緒にいたいんだ……」
俺はソラと違って、気持ちを上手く伝えられないらしい。悔しい。だが、好きだからという理由以外、今の俺には考えられなかったんだ。
「うん、知ってるよ。高見は優しいから、僕のことも家族みたいに好きでいてくれるから」
「……がう」
「家族みたい」────そう言われた時、思わず口が動いてしまった。
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