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泣き虫執事のジャック
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王都から離れた田舎には、小さな図書館がある。病弱になって体を『元気』に動かす事もなかった私の唯一の楽しみはその図書館へ通う事だった。
そして10歳の時、彼と初めて出会った場所でもある。
私は通い慣れた古びたドアを開き、中に入ると毎日見慣れていた年老いた図書員の人は、気持ちよく寝ていた。真っ直ぐ窓辺の方へと進むと黒髪の青年が本を読んでいた。
「ノア」
そう私は彼の名前を呼ぶと彼はいつものように笑顔を向ける。
「やあ、スピカ。ちょうど、昔を思い出してたんだ。10歳の可愛い小さな女の子が何故か『拷問の仕方』なんて読んでたのをね」
「えーと、私、そんなの読んでた?」
クスクスと笑いあう私達。うん、ホッとする……。
ノアの隣に座った私にノアは話しかける。
「急な用事がある、という手紙をもらったけど何かあったの?」
「……ノア…私の可愛い可愛いお姉様が……亡くなったの」
そう私が話すとノアは黙って話を聞いてくれた。そして体が元気になったので、王都にある屋敷へと戻り、お姉様の周りについて調べなきゃいけない事を説明するとノアは難しい顔をした。
「スピカが危ない目に遭うんじゃない?大丈夫なの?以前話を聞いたけれど義理の母と上手くいってないとかいってたよね」
「お義母様達の事はまあ考えはあるの。とりあえず、お姉様が通っていた学園へ行くわ。その前に一つやらなきゃいけない事あるけれど…とある犬をね、助けてあげなきゃ。だから、その……あまり会えないの」
平民だけど、ノアは穏やかで優しい子。いつも遊んでくれていた男の子で私の大好きな人……だからあまり家の事とか巻き込みたくない。
体が元気になったら、自分の想いを伝えようと思ったけれど、アリア姉様が亡くなったのに……私だけ……大好きな人に想いを伝えるのはズルいもの。
「私ね、復讐の女になるのよ」
「‥‥そういうのは、スピカには似合わないけどなあ」
そう笑うノアは私の頭をそっと撫でてくれた。
「私ね、手紙を沢山書くわ!」
何処かノアが、上の空のような気がするのはきのせいかな?
黒い髪色に青い目のノア……。
もし…お姉様とノアが私より出会っていたら…
「ノアは姉様と会っていたら姉様に一目惚れしてたと思う」
「‥‥‥何突然。それはないよ。絶対ない。多分一生分かり合えないぐらいだと思う」
そうキッパリと答えるノアが不思議だわ。可愛いのよ!?私の姉様は!
もし二人が出会っていたら……ノアは惹かれているはず。んー、どっちにもやきもち焼いちゃう自分がいる!!
「スピカ?なんか顔が赤いよ」
な、なんか一人でやきもち妬いて変よね!?
「えっと……えーと、とりあえず、私もう行くわ」
「うん」
そう私はノアに挨拶をして馬車に乗った。
窓から馬車を心配そうにみつめるノアは暗い顔をし呟いていた。
「‥‥‥アリア•ウィンチェスターが亡くなった……か」
王都近くにある主に盗人や、濡れ衣を被せられたもの、犯罪が未確定の者達が囚われている古びた監獄の中に、一人騒いでいる者がいた。
青い色の長髪で一本にまとめ、顔にはアザだらけであり、壊されたであろう眼鏡をかけている執事の青年だった。
「私は無実です!アリアお嬢様を殺すなんて……っ!ここから出してください!」
「執事さんよ、すまねえな。執事さんがいた家からかなり金額もらって出させるなってさ。まあ、死刑にはならず、だだ一生死ぬまでずーっとここで過ごす事になるなあ」
「…なんて無礼な!私ではない!あんな事故!あれは…私ではなく別な誰かだ!ここから……うぅっ、まだアリアお嬢様が……あんな……お嬢様……」
グスグスと泣いている執事を見て笑い出す看守達の前に、カツンとヒールの音が鳴り響く。ストレートで金髪の令嬢が現れた。
スピカ•ウィンチェスターだった。
スピカは可愛らしく微笑んで話しかけた。
「ジャック。相変わらず泣き虫ね」
「……あ、あ貴女様は……な、なぜ、お身体は、え?あ、看守さん!こ、こここここから私を出さないでください!私は一生牢屋にいます!いや、もう殺してください!」
悪役令嬢と呼ばれていたアリア•ウィンチェスターの忠実な執事であるジャックは、スピカが突然現れて歓喜どころか悲鳴を上げていた。
そして10歳の時、彼と初めて出会った場所でもある。
私は通い慣れた古びたドアを開き、中に入ると毎日見慣れていた年老いた図書員の人は、気持ちよく寝ていた。真っ直ぐ窓辺の方へと進むと黒髪の青年が本を読んでいた。
「ノア」
そう私は彼の名前を呼ぶと彼はいつものように笑顔を向ける。
「やあ、スピカ。ちょうど、昔を思い出してたんだ。10歳の可愛い小さな女の子が何故か『拷問の仕方』なんて読んでたのをね」
「えーと、私、そんなの読んでた?」
クスクスと笑いあう私達。うん、ホッとする……。
ノアの隣に座った私にノアは話しかける。
「急な用事がある、という手紙をもらったけど何かあったの?」
「……ノア…私の可愛い可愛いお姉様が……亡くなったの」
そう私が話すとノアは黙って話を聞いてくれた。そして体が元気になったので、王都にある屋敷へと戻り、お姉様の周りについて調べなきゃいけない事を説明するとノアは難しい顔をした。
「スピカが危ない目に遭うんじゃない?大丈夫なの?以前話を聞いたけれど義理の母と上手くいってないとかいってたよね」
「お義母様達の事はまあ考えはあるの。とりあえず、お姉様が通っていた学園へ行くわ。その前に一つやらなきゃいけない事あるけれど…とある犬をね、助けてあげなきゃ。だから、その……あまり会えないの」
平民だけど、ノアは穏やかで優しい子。いつも遊んでくれていた男の子で私の大好きな人……だからあまり家の事とか巻き込みたくない。
体が元気になったら、自分の想いを伝えようと思ったけれど、アリア姉様が亡くなったのに……私だけ……大好きな人に想いを伝えるのはズルいもの。
「私ね、復讐の女になるのよ」
「‥‥そういうのは、スピカには似合わないけどなあ」
そう笑うノアは私の頭をそっと撫でてくれた。
「私ね、手紙を沢山書くわ!」
何処かノアが、上の空のような気がするのはきのせいかな?
黒い髪色に青い目のノア……。
もし…お姉様とノアが私より出会っていたら…
「ノアは姉様と会っていたら姉様に一目惚れしてたと思う」
「‥‥‥何突然。それはないよ。絶対ない。多分一生分かり合えないぐらいだと思う」
そうキッパリと答えるノアが不思議だわ。可愛いのよ!?私の姉様は!
もし二人が出会っていたら……ノアは惹かれているはず。んー、どっちにもやきもち焼いちゃう自分がいる!!
「スピカ?なんか顔が赤いよ」
な、なんか一人でやきもち妬いて変よね!?
「えっと……えーと、とりあえず、私もう行くわ」
「うん」
そう私はノアに挨拶をして馬車に乗った。
窓から馬車を心配そうにみつめるノアは暗い顔をし呟いていた。
「‥‥‥アリア•ウィンチェスターが亡くなった……か」
王都近くにある主に盗人や、濡れ衣を被せられたもの、犯罪が未確定の者達が囚われている古びた監獄の中に、一人騒いでいる者がいた。
青い色の長髪で一本にまとめ、顔にはアザだらけであり、壊されたであろう眼鏡をかけている執事の青年だった。
「私は無実です!アリアお嬢様を殺すなんて……っ!ここから出してください!」
「執事さんよ、すまねえな。執事さんがいた家からかなり金額もらって出させるなってさ。まあ、死刑にはならず、だだ一生死ぬまでずーっとここで過ごす事になるなあ」
「…なんて無礼な!私ではない!あんな事故!あれは…私ではなく別な誰かだ!ここから……うぅっ、まだアリアお嬢様が……あんな……お嬢様……」
グスグスと泣いている執事を見て笑い出す看守達の前に、カツンとヒールの音が鳴り響く。ストレートで金髪の令嬢が現れた。
スピカ•ウィンチェスターだった。
スピカは可愛らしく微笑んで話しかけた。
「ジャック。相変わらず泣き虫ね」
「……あ、あ貴女様は……な、なぜ、お身体は、え?あ、看守さん!こ、こここここから私を出さないでください!私は一生牢屋にいます!いや、もう殺してください!」
悪役令嬢と呼ばれていたアリア•ウィンチェスターの忠実な執事であるジャックは、スピカが突然現れて歓喜どころか悲鳴を上げていた。
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