わたしのなかにいる他人

そのよる、
わたしのなかには だれかがいた。

名前はなかった。
ふれたのかさえ わからない。

ただ、
からだが あたたかさを おぼえている。

そのひとは わたしだったのか、
それとも――

いまも わたしのなかに のこっている誰か。

語られなかった記憶と、
名をもたないぬくもりが、
ことばの外で ゆっくりと息をしている。
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