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1話・追い詰めるのが好き

11 *

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 高遠原は、俺の下半身に添えた手を止めない。


「諸星……手が動かしづれェ。もっと脚、開けよ」
「ぃあ……っ、ん……っ!」


 ――誰が脚なんか開くもんか……っ!

 それが俺の本心。
 ……その、はずなのに。


「ハハッ、今日は随分と素直じゃねェか? ン?」


 理性に抗って、脚が勝手に……開いてしまう。


「やだ、いや……あ、あっ!」
「お前、分かってねェのか? さっきからずゥっと……先っぽ、ヌルヌルしたのが溢れてるぜ?」
「うそ、うそだ……っ! んっ、ふぁ……あっ!」


 笑いながら、高遠原は俺の耳朶にキスをする。
 そんなことをされる意味も、当然、分からない。


「音、おとっ、やだぁ……っ! 手、とめて、とめろ、ばか……っ! あっ、あぁっ!」
「止めてキツイのはお前だろ? 体は素直なくせに、口はうるせェなァ?」
「ふぁ、あぁっ! さ、先っぽ、爪で引っ掻くな――ぁん、んっ!」


 戸惑う俺にはお構いなく。
 高遠原は俺のペニスを扱いている手の動きを、更に荒々しいものにする。


「ふぁ、あぁっ! やっ、やめ――ん、ぁあっ!」


 頭では、しっかりと拒否をしている。

 ――なのに、体は更なる快感を。

 ――射精を、求めている。


「たか、とおばらぁ……っ! もっ、や……やめ、ろ、っ!」


 後ろに立つ、憎い男へ視線を向けた。
 憤りを込めた筈である俺の顔が、高遠原の瞳に映る。


「あっ、うそ……っ? いっ、いや、いやだ……っ!」


 高遠原の瞳に映った、俺の目。

 ――その目は、縋るように……求めるように、潤んでいる。


「ふはッ。……お望み通り、イカせてやるよ」


 そう言い、満足そうに笑うと。
 高遠原は俺を攻める手の動きを、加速させる。


「ちがっ、ちがうっ! やだ、いやだっ、やだっ! イ、イきたくないっ! やだ、あっ、ぁあっ!」


 どれだけ首を横に振ったって。

 ――限界を迎えるしか、なかった。


「あっ、あぁ……っ! でるっ、で――ん、あっ! ぁああっ!」


 情けない悲鳴と共に、俺は背筋を仰け反らせる。
 そのまま高遠原の手に向けて、精液を吐き出した。


「うわ……すげェ勢い」


 射精をしているというのに、高遠原の手は止まらない。
 まるで俺の精液を搾り取ろうとしているかのように、動かし続けている。


「ふぁ……あ、ぁ……っ!」


 ハデに達したせいで、足に力が入らない。
 膝から崩れ落ちそうな体を、後ろから高遠原が抱き留めてくる。


(もう……なにが、何だか……分からない……っ)


 脱力していると、高遠原が俺を覗き込む。


「真冬、こっち向けよ」
「ふ、ぁ……っ?」


 強い口調で……だけど、優しい声で名前を呼ばれた。ぼんやりとした頭ではなにも考えられず、素直に振り向く。
 視線が絡まった瞬間。

 ――深く、口づけられた。




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