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78.両立する想い① ※

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「薬効はきれても、濡れるようになった変化は、そのままなんだね」

 おれの後孔に挿し入れられたテオドールの指が、中を掻き回すたびに、ぐちゅぐちゅと、聞くに堪えない音が寝室に響く。

「んっ…一度起こった、変化は……あっ…不可逆、だから……っ」

 秘薬『女神の願い』の効果による身体の変化は、元に戻ることは無い。

「シリル兄さんは……本当に僕の子を産んでくれる気だったんだね」

 そして、一度特定のパートナーと結びつくと、その相手の精霊力マナにしか反応しなくなる。

 そうだよ。おれは、少なくとも本気でテオドールの子を産もうと思っていた。

 おれがいなくなっても、テオドールに何か残せるものがあったらいい。そう、思ったから。

 こんなことを言えば、テオドールはまた「僕をおいていく気なの」と怒るだろうけど。
 でもきっと、おれのそんな気持ちもテオドールにはお見通しだったのだと思う。

「ふっ……は、あっぁ……テオぉ……んっ」

 ばらばらと、無秩序に動かしているようで、おれのいいところを的確に刺激してくるテオドールは、こんなところも優秀過ぎる。

「シリル兄さん、すごい気持ちよさそう」
「んっ……ん、ぁ…だって、テオが触るからぁ……」
「僕が、触るから?」
「んっ……だって、…テオが好き、だから…テオの手も、触り方もぜんぶ、すき…っ」

 ふっとテオドールが甘く笑った。

 その顔が色っぽくて、愛しくて、くらりと眩暈がする。
 おれはたまらず、テオドールの頬に手を伸ばし、そのまま口づけた。
 舌を差し出して、覚えたばかりの拙い動きで、テオドールの口内に触れる。ぬるりと温かな生々しい感触に、身体がどんどん熱くなる。

「あっ…テオ……んっ……はっ」
「ふふ……シリル兄さん、キスが好きなんだ」
「んっ…すき、…だいすき……テオ、もっと…もっと、したい」

 首に手を回し、身体を寄せて、ぴったりと唇を合わせる。その中で触れ合う粘膜から、とくとくと、テオドールの精霊力マナが注ぎ込まれてくる。
 もっと欲しくて、啜るように唾液を求めるけど、溢れて顎を伝って。それが、勿体なくて仕方ない。
 絶え間なく胸や腹を柔らかく撫でる手が、胸の先端を掠めて思わず恥ずかしい声が漏れる。

 平べったい胸を、楽しそうにむにむにと揉みながら、でも先っぽには触れてくれなくて、もどかしくて。
 もぞもぞと動くおれに、テオドールは聞く。

「どうして、欲しいの?」

 テオ、ちょっと、意地悪じゃないか?わかってるくせに。

「あなたの口から、聞きたいんだ」

 朦朧とする意識の中で、考えて、願いをそのままを口にする。

「テオ……ここ、触って……たくさん、触って、気持ちよく、して」

 テオドールの手を取って、自分の胸へと誘導して、ぎゅっと押し付けた。

 テオドールは繊細な手つきで、おれの乳首を愛撫する。優しくつまんで、こねて、弾かれると、後ろがきゅっと締まる。
 その中を擦られ、長い指に絡みつくように内側がうねって、ぞくぞくとした甘い痺れが、お腹の奥に溜まってくる。

「腰が揺れてる。やらしいな」
「あっ……だって、…あ、ぁんっ…」
「やらしくて、物欲しそうで……すごく、可愛い」

 奥が疼く。もっと深く、奥に触れてほしい。

「あ、……テオ、…テオ……っ」

 懇願するように、名前を呼ぶ。

 はぁ、とテオドールが熱い吐息をついて、後孔から指を抜き、自身のズボンをくつろげれば、さっきから窮屈そうに主張していたものが露わになった。

 初めて見る臨戦態勢のそれは、重力に逆らってしっかりと屹立し、自分のものと比べるのもおこがましい、重厚感のある雄々しい造形だった。

 テオって、こんなとこまで綺麗なんだな。

 思わず、こくりと喉を鳴らす。

 でも、今最大の問題は、

「え?……大き過ぎない?」

 サイズの不均衡だ。

「そんなに見られると、恥ずかしいな」

 これ……おれに入るの?
 自身の薄い腹を見て、長さの目測をして……下から……この辺くらいまで、くるってこと?

 いつの間に、そんなとこまで、こんなに成長したんだよ。
 というか、なぜこの圧倒的存在感に、今まで気づかなかったんだよ、おれは。

「もう少し、縮めれないの?」
「うーん……今の状況だと、もっと大きくなることはあっても、縮むのは難しいかな」

 もっと、大きくなる……?冗談だろ。

 何度もお腹を撫でて、確かめる。太さ的にも、長さ的にも……当然、体積的にも無理だと思う。

 どんなに頑張っても、鼻にスイカは入らない。

「シリル兄さん……そういうの、僕的には、大歓迎だけど。自分の身を考えるならば、気を付けた方がいいよ」

 先ほどの言葉を、体現して、なんだか一段と大きくなったような気がするそれは、絶対に入る大きさじゃない。

 おれの戸惑いや不安をよそに、ぬかるんだ蕾に熱い猛りが押し付けられて。

「んぅっ……あ、そんなこと、したら…」

 湿った感触がぬるぬると擦れて、ひくつくそこは、今にも先端を飲み込みたそうに緩む。

「ひ…うっ……テオぉ、や……」
「シリル兄さん、いや?」

 そうじゃなくて。

「ふ、ぁ………やさしく、して…っ」

 こんなこと、言わなくても、テオはいつもおれに優しいってわかってるけど。
 今も、まるで宝物みたいに、おれに触れて、時間をかけて、おれを解してくれる。

 でも。

「あっ…テオのテオが……優しくない…っ」

 このサイズ感は全然、優しくない。主に、おれのお尻に対して、厳し過ぎる。その厳しさも、おれには乗り越えられるって、そう思ってくれているのだろうか。
 過剰な期待は、身を滅ぼすっていうじゃんか。
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