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初めての感覚に思わず声を上げるアイリス。
だが、王子はまだ戸惑いを拭いきれないでいた。
「アイリス、これは一体?」
「これが神のお与えになる快楽よ」
「これが?」
「ええ。今から私と一緒に気持ちよくなりましょう」
そう言うと、アイリスは腰を動かし始めた。
「んっ、あっ、あんっ」
アイリスの動きに合わせて甘い吐息が漏れ出す。
「アイリス、これは一体どういうことなんだ?」
「言ったでしょ?
これは神のご意思なの」
「神のご意思?」
「そう。神は私たち人間にこの世の理を教えてくださっているの」
「この世の理?」
「ええ。だから私たちは神のご意思に従い、日々を生きているの」
(まさか……)
王子はある可能性に思い至り、慌てて尋ねた。
「アイリス!  まさかさっき飲ませた聖水というのは!」
「ああ、あれのこと?」
アイリスは事も無げに答える。
「あなたが飲まされた聖水はただの水よ」
「なんだって!」
「大丈夫。身体に害は無いわ。むしろ神の加護を得た証として喜ばしいことだわ」
「そんな馬鹿なこと……」
王子は自分の顔が青ざめるのを感じた。
つまり自分は、今までずっと騙されていたのだ。
アイリスの言うことを鵜呑みにして、
彼女の為を思って用意した聖水を全て無駄にした。
しかも、彼女が言う神の加護とやらを得る為に……。
「アイリス、君は最初から知っていたんだね?」
「ええ、もちろんよ。だから、私はあなたのことを愛しているの」
「私のことを?」
「ええ。私はあなたのことを心の底から愛している。だから、私はあなたのお側に居たいの」
「アイリス……」
アイリスの言葉に心打たれる王子。
「アイリス、君は私のことを愛していると言ってくれたね?」
「ええ」
「なら何故、こんなことを?」
「それは……」
アイリスは少し言い淀むと、意を決したように話した。
「私はあなたに嫌われたくないと思ったからです」
「私が君を嫌うだって?」
予想外な答えに王子は首を傾げる。
「はい。あなたはいずれ王位を継ぐ身であり、
その為に多くの女性と関係を持つ必要があると聞いています」
確かにそうだが、それはあくまで表向きの話だ。
実際は婚約者を裏切るような真似をするはずがない。
「あなたが女性関係を持つことで、多くの女性が傷つくことも知っていました。
それでもなお、あなたの側に居るということは私もそういう女だと思われてしまうのではないかと不安だったのです。
でも、あなたの愛を得るためならどんなことでもするつもりでした」
「それが聖水を飲むことだったのかい?」
「はい。私があなたの聖水を受け入れれば、少なくとも他の女性たちより一歩リードできると思いました。
それに、あなたの聖水を受け入れることは、私にとっても悪いことではありませんでしたし」
「それは何故だい?」
「それは……」
アイリスは再び顔を赤らめた。
「それは、私の身体が神に近づいたということなのです」
「神に?」
「はい。私はあなたの聖水を飲んで初めて、自分が神に近づいていることに気づいたんです」
「本当かい?」
「はい。私の身体がどんどん変わっていくのを感じていました。
特に胸が大きくなって、肌が白くなっていった時は嬉しかったわ」
「アイリス……」
「あなたも見たでしょ?」
「え?」
「私の胸。前よりも大きくなったでしょ?」
言われてみると、たしかに以前より大きくなっている気がする。
「ああ、たしかに」
「あなたに喜んで欲しくて、頑張ったのよ」
「アイリス……」
「ねえ、お願い。もっと強く抱きしめて」
王子は言われた通りアイリスのことを力強く抱きしめた。
「嬉しいわ。もっと強く抱いて。骨が折れるほど」
「わかった」
王子は更に力を込めて抱きしめる。
「もっと、もっとよ」
アイリスは王子の背中に回していた腕を解くと、王子の頭を抱え込むようにして抱きしめた。
「もっとよ。もっと強く」
「こうかい?」
「違う。逆よ」
言われるがまま王子はアイリスの腕を解き、今度は逆にアイリスを抱き寄せた。
そしてそのままベッドに押し倒す。
すると、二人はお互いを求め合うように激しく口づけを交わした。
「ちゅっ、くちゅっ」
やがて二人の唇は離れると、アイリスはそのまま王子の首筋を舐め始めた。
舌先でチロチロと首元をなぞるようにして刺激していく。
やがて、舌先は鎖骨の辺りまで降りてくると、そのまま下へ下へと向かっていった。
やがて辿り着いたのは大きな二つの膨らみの上。その先端は既に固く尖っていた。
それを舌で転がしながら甘噛みする。もう片方の乳房も手で揉んでいくと、
アイリスは身を捩らせながら喘いだ。
「ああっ、そこっ、いいっ」
「ここがいいの?」
「はいっ、いいですっ」
王子は片方の突起を吸い上げながら、空いた方の手でもう一方の乳房を鷲掴んだ。
「ああ、凄いわっ」
アイリスはビクビクと身体を震わせる。
そして、王子は次にアイリスの花弁に手を伸ばしていった。
そこは既にぐっしょりと濡れており、王子の指先が触れる度にいやらしい音を立てた。
「もうこんなに濡らしているのか」
「はい。早く入れてください」
王子は花弁の中に指を入れると、中をかき混ぜるように動かしていく。
「んっ、あっ、はぁっ」
アイリスは腰を浮かせて感じているようだ。
王子は頃合いを見計らうと、そのまま一気に突き入れた。
「んっ、はっ、はあっ」
アイリスは挿入と同時に達してしまったようで、腰をガクガクと痙攣させている。
「はー、はー」
アイリスは荒くなった呼吸を整えようとしている。
「アイリス、大丈夫か?」
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