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普通ならばもっと育ってもいいはずなのに。
どうやら彼女達はみんな揃って栄養失調になっていたらしい。
それを知った俺は、どうせここで放り出すことはできないと腹を決めると彼女達を養うことにする。
といっても当面の目標は村を作ることだ。
幸いなことに俺は金だけは持っている。
そして森の開拓を始めた。
それから数日が経過してようやく拠点となる場所を確保することが出来た。
そこは山の中腹にあり木々に囲まれていて魔物の姿もない。
広さはそこそこありそうなので問題はない。
それを確認した後で俺は彼女たちを連れて戻ると早速風呂に入ることにしようと思った。
その前に着替えを用意した方がいいかと思ったので女性陣の分の服を用意しておく。
そういえば下着類は用意していなかったな。
俺はその事に気づいてすぐに男性用のものを用意する。
流石に女物の服までは持っていないので。
そうしていると俺が戻ってくると、彼女は服を受け取ってくれた。
その際に彼女は俺に視線を向けてくる。
俺は何を言いたいのかを理解したので、まずは湯浴みをしようと言って皆に指示を出した。
俺の言葉に従ってそれぞれが動き出した。
だがその時に彼女はなぜか躊躇していた。
どうやら俺に裸を見せるのが恥ずかしいらしい。
だけど彼女はどうしても入りたいらしいので仕方なく一緒に入ることにした。
彼女は俺の前で裸になると恥ずかしそうにしていた。
どうやら彼女は今までずっと一人ぼっちで生活していたので裸を見られることに抵抗があるのかもしれない。
その気持ちは理解できるが今は我慢してもらう必要がある。
そうしないと俺の方も困るので。
俺は彼女を宥めると一緒の湯船に浸かる。
そうしていると彼女は俺に甘えて来た。
こうして見るとまるで妹みたいな印象を受ける。
とはいえ俺は兄がいないので実際にはよくわからないがでも可愛いと思う。
俺は彼女の頭を優しく撫でてあげると、嬉しそうな表情を見せてくれる。
しかし彼女はまだ子供だ。
それに体も痩せ細っており健康状態もよくなさそうだ。
これでは将来病気になってしまう可能性がある。
俺は彼女の事を放っておけないと強く思った。
だって彼女はもう俺にとって家族の一員なんだから。
だからこそ彼女には元気になって欲しい。
それにしても……この子の顔つきはどう見ても日本人じゃないよな? なんで日本語を喋れるんだろう? いやまぁいいか。
とりあえずは俺の傍に置いておけばいいだろう。
もちろん手を出すつもりはないが、 俺の庇護下にいれば安心だろう。
俺は彼女を抱きしめるとそのまましばらく休む事にした。
リリアナとアリアの二人と一緒に入浴した後で俺は二人の体を拭いてあげてから服を着せると、そのままベッドに連れて行く。
そうして休ませようとしたのだが、彼女はなかなか眠ろうとしなかった。おそらく疲れているのは間違いないだろう。
だが彼女はまだ幼いのですぐに眠くなるはずだと思い、俺は彼女を抱き寄せる。そうして背中をさすったりしてあげた。
しばらくの間続けている内に段々とまぶたが重くなってきたのかうとうとし始めているのが分かった。
それから程なくして寝息を立て始める。
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