47 / 128
洗脳
居るだけで迷惑なのか!
しおりを挟む
「まったく!居るだけで迷惑なのか!あいつは!」
夜になってようやく忙しい1日が終わり、いつものバーでひと息付く。汗だくになった俺の額を、アルフィがせっせとタオルで拭いてくれている。
「お疲れ様。ごめんね?手伝えなくて」
「アルフィをあいつに会わせたくないっていうのは、俺のわがままでもあるからな。ここは俺に任せてくれよ」
「シャルル様」
「そもそも悪いのはあいつだ!あいつ!あの馬鹿が考えなしに魔物を倒すから!」
今日俺が忙しかったのは、街の周辺に魔物が大量発生したからだ。民の報告で早期に気付き、衛兵や街に居合わせた冒険家達に協力を仰ぎ、なんとか全て近くの森に追い返すことが出来たから良かったが、初期対応が遅れていたら犠牲者が出てもおかしくなかった。
強力な魔法を使えるアルフィやオカンが手伝ってくれたら、2人だけでも対処出来ただろうが、今は2人共外には出せない。なら俺が頑張るしかない。まあ俺は戦うんじゃなくて指示してただけだけど。
「あいつは他人の迷惑とかまったく考えないんだよ。いつも通り弱い魔物は経験にならないからって無視したんだと思うよ。あいつ他の街でも何回も同じことして苦情来てるから。ウチの地元じゃあいつのわがままにあわせて、増え過ぎた弱い魔物の討伐隊を別で派遣してるぐらいだからね」
「強い魔物だけを狩って歩くなんて、そんなことしたら魔物の生態系が崩れるのは容易に想像が付くと思うのですが」
「ほんで結果的に弱い魔物の数が増えて、縄張り追い出されたヤツらが、街の近くまで出てきたってわけかいな。なんや迷惑な話やなぁ。そんで?そのアホはちゃんと仕事したんかいな」
「勇者にも街の方から正式に依頼したが、経験にならない戦闘には興味がないと断られた」
「やっぱりね。自分のせいなのに!」
「まあ他にそんなことしそうな奴は居ないから、十中八九そうなんだが、証拠は無いからな」
俺も何度か文句を言ってやろうかと思ったが、そんな無駄な時間がなかったのと、証拠が無いからしらを切られるかも知れないのとで、結局歯を食いしばって耐えたのだ。
「ちなみに、勇者は街全体が右へ左へとバタバタしていた間、なにやらこそこそと街中を動いていたようですね」
執事として俺の右腕だったマスターの情報網は健在のようだ。あいつ、アルフィの洗脳の秘密を探るとか言ってたからな。まあ痛くない腹を探られても問題ないが。
「そろそろどうにか追い出さないと、また問題を増やされかねないな」
アルフィとオカンに頼らず力づくで追い出す。そんな真似が出来るのか、何度考えても良い答えは見つからなかった。
夜になってようやく忙しい1日が終わり、いつものバーでひと息付く。汗だくになった俺の額を、アルフィがせっせとタオルで拭いてくれている。
「お疲れ様。ごめんね?手伝えなくて」
「アルフィをあいつに会わせたくないっていうのは、俺のわがままでもあるからな。ここは俺に任せてくれよ」
「シャルル様」
「そもそも悪いのはあいつだ!あいつ!あの馬鹿が考えなしに魔物を倒すから!」
今日俺が忙しかったのは、街の周辺に魔物が大量発生したからだ。民の報告で早期に気付き、衛兵や街に居合わせた冒険家達に協力を仰ぎ、なんとか全て近くの森に追い返すことが出来たから良かったが、初期対応が遅れていたら犠牲者が出てもおかしくなかった。
強力な魔法を使えるアルフィやオカンが手伝ってくれたら、2人だけでも対処出来ただろうが、今は2人共外には出せない。なら俺が頑張るしかない。まあ俺は戦うんじゃなくて指示してただけだけど。
「あいつは他人の迷惑とかまったく考えないんだよ。いつも通り弱い魔物は経験にならないからって無視したんだと思うよ。あいつ他の街でも何回も同じことして苦情来てるから。ウチの地元じゃあいつのわがままにあわせて、増え過ぎた弱い魔物の討伐隊を別で派遣してるぐらいだからね」
「強い魔物だけを狩って歩くなんて、そんなことしたら魔物の生態系が崩れるのは容易に想像が付くと思うのですが」
「ほんで結果的に弱い魔物の数が増えて、縄張り追い出されたヤツらが、街の近くまで出てきたってわけかいな。なんや迷惑な話やなぁ。そんで?そのアホはちゃんと仕事したんかいな」
「勇者にも街の方から正式に依頼したが、経験にならない戦闘には興味がないと断られた」
「やっぱりね。自分のせいなのに!」
「まあ他にそんなことしそうな奴は居ないから、十中八九そうなんだが、証拠は無いからな」
俺も何度か文句を言ってやろうかと思ったが、そんな無駄な時間がなかったのと、証拠が無いからしらを切られるかも知れないのとで、結局歯を食いしばって耐えたのだ。
「ちなみに、勇者は街全体が右へ左へとバタバタしていた間、なにやらこそこそと街中を動いていたようですね」
執事として俺の右腕だったマスターの情報網は健在のようだ。あいつ、アルフィの洗脳の秘密を探るとか言ってたからな。まあ痛くない腹を探られても問題ないが。
「そろそろどうにか追い出さないと、また問題を増やされかねないな」
アルフィとオカンに頼らず力づくで追い出す。そんな真似が出来るのか、何度考えても良い答えは見つからなかった。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる