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17 戦の後って昂るよね?
しおりを挟む「お疲れさん」
そう言ってぽふっと桜雅の頭にめいめいに手を置いて撫でていく料理人や食堂の従業員達。
「───はあ・・・こんなにハードだとは思わなかったです」
「ああ、まあ、ここは騎士団の食堂だからな。特に体格も良くて大食らいのヤツが多いから、配膳大変だったろう?」
「・・・俺じゃあの量のトレイ、持ち上がんないです」
食堂のテーブルに突っ伏した桜雅を見て苦笑しながら、料理長のリカルドがそう言って慰めてくれた。
しかしながら、今回、桜雅は自分の非力さを思い知った。
確かに大皿に大盛りの料理は重いだろうが、でもそれくらいは持てるだろうと高をくくっていたのだ。
それなのに腕はぷるぷる震えて数センチ持ち上がっただけだった。
見かねた騎士が自分で持ち上げて移動していくのを見て、何ともやり切れない思いだった。
「はっはっは。お前さん、病み上がりなんだろう? その内、力出るって。そもそも吸血鬼って魔法は凄いんだろうけどひょろっこいだろ? どう見ても力持ちには見えねえよ。元々が違うんだから気にすんなって!」
「そうそう。食器の片づけなんかはめちゃくちゃ助かったぜ」
「皿に盛り付けるのも上手かったし」
「・・・・・・うう、皆さんの心遣いが嬉しい。優しい」
桜雅の周りに皆、いつの間にか集まって賑やかに話していたが、今度は朝昼当番の料理人や従業員が来るので、解散する。
「一人で部屋に帰れるかい?」
「さすがに道は覚えましたよ!」
「はっはっは! じゃあゆっくり休めよ。また夕方、同じ頃にな」
「お疲れ様でした」
リカルド達が帰って行くのを見送って、自分もベオウルフの部屋に戻った。
時間は明け方4時くらいか。
「ベオウルフ、さすがにまだ寝てるかな?」
どうやら早起きして鍛錬をしたりするらしい。
俺はベオウルフが何時に起きてるのか分からないけど。
「・・・・・・ただいまぁ」
そうっと静かに扉を開けて声をかけるが、さすがに寝ているようだ。
「・・・・・・静かにシャワー浴びちゃおう」
料理の匂いとか油とかは、食堂の人が洗浄の魔法?で取ってくれたけど、やっぱりお風呂で洗い流してさっぱりしたい。
これまた静かにシャワーを浴びてさっぱりした桜雅は、体をタオルで拭いていたとき自分の下半身の違和感に気付いた。
「───えーと・・・?」
・・・・・・股間のモノが勃起している。
「・・・・・・これは、どうすれば・・・?」
人族としての体の生理現象がそのまま起こっているだけなのだが・・・。
「そういえばトーイが『吸血鬼は排泄が無い体』と言っていたなあ。じゃあ、出るものは無いのかな? ええと、この場合、どうすれば・・・?」
取りあえずベオウルフに相談しようそうしよう。
───何も考えずパジャマの上だけ羽織ってベオウルフの寝ているベッドに行った桜雅は、それがベオウルフの劣情を煽るということに全く気付いていなかった。
更には久しぶりに気分が高揚しているという自覚がなかった桜雅は、無意識にベオウルフの血を求めていて。
「───ベオウルフ、血ぃちょうだい・・・」
「───っ桜雅?!」
ベオウルフの耳元で囁いた桜雅の声にビクッとして目を覚ましたベオウルフは、瞳を紅に染めてトロンとした桜雅の顔と剥き出しの下半身に気が付いて、思わず噛み付くように口付けをした。
「───っはぁ・・・ベオウルフ、血・・・」
「・・・・・・お前なぁ───、襲われたいのか?」
「? ベオウルフなら良いよぉ。ね、これ、どうしたら良いの?」
桜雅の言うこれを確認してから、ベオウルフは理性を総動員させて考えた。
おそらく桜雅は食堂の仕事で疲れて、知らず興奮しているのだろう。
戦いのあと騎士や兵士なども性的に昂るから似たようなモノだ。
だから一時的な興奮だろうと結論を出して・・・。
「・・・一般的には出せば落ち着くんだが、吸血鬼はそういう行為をそもそもするのか、出来るのか・・・? 分からんが、ヤルだけヤって見るか?」
「何をやるんだ?」
「ナニを、ヤルんだよ」
ベオウルフが淫靡な微笑みでそう言った。
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