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現代文学 連載中 短編
『鬼の袖にも露は降る』。 強く非情に徹した者の袖にも、いつかそっと、情念という名の露が宿る。 それは誰にも避けられぬ、人としての業なのかもしれない。 「鬼」とは何か。 日本における鬼の原型は、古代中国の「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」や「陰陽五行思想」から渡来したものと言われる。 『日本書紀』や『風土記』には異形の存在が記され、平安時代には人間社会の外側に生きる“まつろわぬ者”として、鬼たちは語られた。 その姿は時に赤鬼、青鬼として角を生やし、金棒を携え、山に棲み人を襲う化物であり、 時に怨霊や亡者として、人の執念や恨みに姿を変え、都に災いをもたらす存在でもあった。 だが、鬼は単なる怪物ではない。 鬼は“人が鬼になる”存在だ。 極度の怒り、悲しみ、欲、執着、あるいは理念。 何かに突き動かされ、何かを極め、そして何かを捨てた人間が、ある日、鬼となる。 その背には孤独がある。 その掌には矛盾がある。 そして、その袖には、いつかの“露”が降りる。 本作『鬼の袖にも露は降る』は、 そんな“鬼”という言葉が内包する強さと哀しみを、 現代に生きる人間たちに重ねて描く、オムニバス形式の短編集である。 各話は、鬼にまつわることわざを一つテーマに据え、 舞台も登場人物も異なる独立した物語として構成される。 第一話では、「鬼に金棒」をモチーフに、 策略ひとつで政界を動かしてきた孤高の男・飛鳥宗一が、 初めて“人脈”という名の金棒を手にし、 “孤高の鬼”から“支配の鬼”へと変貌する姿を描く。 他にも、教育の鬼、恋に生きる鬼、復讐を誓った鬼、家族に徹する鬼…… さまざまな“何かに取り憑かれた者たち”が登場し、 己の強さの中に、かすかな情、赦し、あるいは涙の気配を抱いていく。 それはもしかしたら救いではないかもしれない。 けれど確かに、鬼の袖にも、露は降る。 人が鬼になるとき、 そして鬼が、わずかに人へと戻るとき―― そこに浮かびあがる“物語”を、あなたに。
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文字数 30,207 最終更新日 2025.08.13 登録日 2025.08.09
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