北帰行 小説一覧
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「冤(わな)」
嵐の夜、押し寄せた波で墓地が流された、倒れた墓石の下に、ネクタイ姿の死体が埋もれていた、大金を持って行方を眩ませていた漁協組合理事長、だった、
左目、左頬に刀傷、異相の刑事黒木佐吉が事件捜査に着手、忽ちに容疑者を検挙して自供させた、しかし理事長が横領した組合の金が何処にも無い、容疑者は過去に大阪府警依田刑事が何度か逮捕した少年だった、その年の犯歴を問う手紙を依田刑事は受け取った、依頼者名を見て依田は驚いた、黒木佐吉の名は、依田の幼馴染みと同じ名前、しかも出身地も同じ、しかし面会したが幼馴染みとは全くの別人、そして容疑者の様子を観て、依田は冤罪の疑いを持ち、犯行状況を辿る、
黒木は金が要った、黒木は補助憲兵として朝鮮で過ごした、赴任先から帰ると、妻と子が中国赤匪に嬲り殺しにされたと聞いた、黒木は日本に帰った、だが、窃盗で捕まえた、朝鮮からの密航者から、妻と子が、動乱の朝鮮で、黒木を恨んで生きていると聞いた、朝鮮に渡るには大金が必要だった、組合理事長が組合の金を横領している事実を掴んだ、
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