伊藤仁斎小説一覧

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「書棚を見せてもろうてもよろしいか。勿論触ったりせんよって」  高価で貴重な書を繙かせてもらえるとはさすがに思わないが、学で身を立てているというこの男がどんな書を揃えているのか。書を好む者なら、せめてそれだけでも知りたいと思うのが人情だろう。  少し間があった。 「題簽を眺めて意味があるか」  言葉に刀身の閃きを観たような気がした。ぞくりと、背を何かが走る。  男は真っ直ぐに源佐を見据えている。 「書は珍しい玉や色鮮やかな鳥とは違う。眺めて有難がるのは時間の無駄だ。やめておけ」    ☆  江戸初期の儒学者・神道家、山崎闇斎(1619-1682)の生誕400年記念作品。山崎闇斎とその向かいに住む儒者、伊藤仁斎を描く創作歴史小説です。 【登場人物】 伊藤源佐   市井の儒者。号は仁斎。その学は古義学と呼ばれる。 伊藤源蔵   源佐の長男。号は東涯。 板垣民部   板垣民部信直。下御霊神社神主、闇斎門人。後に出雲路と改姓、出雲路信直と名乗る。父は元専。 浅見安正   山崎闇斎の門人。号は絅斎。 山崎闇斎   儒者・神道家。名は嘉右衛門。その門流は崎門と呼ばれる。垂加神道の創始者。 なろうでも公開中。 https://ncode.syosetu.com/n4280fs/ また、BOOTHで冊子(有償)とDL配布(無償)を公開しています。 https://fukahiro.booth.pm/items/1478695
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文字数 17,367 最終更新日 2020.03.26 登録日 2020.03.21
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