小説投稿者の「僕」は、自作『桜埋葬』を完結させた夜、桜影という読者からDMを受け取る。作品を深く読み込んだその言葉は、嬉しさと同時に、奇妙な近さをまとっていた。
返信を重ねるうち、桜影は少しずつ作品の外へ踏み込んでくる。読者の感想だったはずの言葉は、僕の生活、視線、記憶にまで触れ始める。
画面の向こうにいるはずの女。日常の中で目に残る女。別々だったはずの二つの気配が、いつしか境目を失っていく。
見ていたのは自分か。見られていたのは自分か。物語を投稿し終えた日から、女は僕の生活に絡みついていた。
文字数 4,370
最終更新日 2026.05.15
登録日 2026.05.15